
大自然×圧巻アート×パワースポット寺社。
宇賀なつみが案内する国東半島の神秘旅 | Page 2
神仏習合の国東でアートを巡る旅
アントニー・ゴームリーの作品を筆頭に、国東半島には個性的なアートが点在。今年の秋には、国東市・豊後高田市で「国東半島芸術文化祭」の開催が予定されています。大自然と歴史が溶け合うこの地で、5つのアートに出合う感性と運気を満たすドライブへ。
アート① 川俣正『説教壇』


国東市国見町の岐部地区にある〈ペトロ・カスイ岐部神父記念公園〉の裏手に広がる小高い丘に立つのは、現代美術家の川俣正による『説教壇』。日本人として初めて聖地エルサレムに渡った宣教師、ペトロ・カスイ岐部の精神性に着想を得て、人々が語り合い、思索するための空間として制作されました。

空中に浮かぶような木製回廊と、その下に設置されたベンチ。木々の間から差し込む陽光と、遠くに見える瀬戸内海の景色が、まるで屋外礼拝堂のような静謐(せいひつ)さを演出しています。自然に包まれたこの場所で、心の奥の声に耳を澄ませてみたくなります。
アート② 島袋道浩『マノセ』
竹田津地区にある『マノセ』は、島袋道浩による堤防に書かれた言葉の作品。

「石をつむ 流木をたてる 穴のあいた石をさがす」と堤防に書かれたメッセージに導かれながら、ここを訪れた人たちが即興的に行動することで作品が創造されます。まさに自らが参加してつくり上げるアート。

干潮時に現れる道を歩いて渡ることも。少し離れた道沿いからは、浸食によって無数の空洞が刻まれた幻想的な景色を見せてくれます。
アート③ 宮島達男『Hundred Life Houses』
LEDの点滅が命の営みを表す、宮島達男による作品『Hundred Life Houses』。

縄文時代の成仏岩陰(じょうぶついわかげ)遺跡を背景にした巨大な岩場に設置されたこの作品は、高さ30メートルの火山で形成された岩肌に、無数のLEDカウンターが取り付けられています。

異なる点滅は、地元の人々がそれぞれ好きなリズムをセットし、生と死の循環、輪廻を表現。普遍的なテーマと向き合うこの場所は、“現代の磨崖仏”としてつくりあげた作品なのだそう。
アート④ 島袋道浩『光る道-階段の無い参道-』

国東市旭日地区の祇園山。鳥居の先に立ちはだかる急斜面に続く手すりは、日没後に点灯し、ひと筋の光る道に。

その手すりを頼りに登り切った先には、ここまでたどり着いた人だけが味わえる特別な景色が広がります。さらに頂上には、もう一つの作品『首飾り-石を持って山に登る』を見ることができます。
アート⑤ 木村崇人『太陽と坐る』
〈花とアートの岬 長崎鼻〉は、夏にひまわりが約160万本咲き誇る花の名所。敷地内には数々のアート作品が常設展示されています。

そのなかのひとつ、『太陽と坐る』は、空に向かって咲く1本と、枯れてうつむいて見えるもう1本のひまわり。一対のひまわりをかたどったオブジェの下に“自然のベンチ”を生み出した作品で、季節や時間によって草木や花、虫などに出合うことにより、生命の営みや循環を感じさせてくれます。