日帰りでも楽しめる! 別府のおすすめ温泉4選
大分を代表する人気の観光地「別府」。別府八湯をはじめ、市内各地に数百もの温泉があり、その湧出量は日本一を誇ります。
そんな別府の温泉を何種類も堪能したいという方におすすめなのが「日帰り入浴」です。市内の温泉をめぐり、異なる魅力を発見する。贅沢な癒やしの旅をしたいという方におすすめの日帰り温泉をedit Oita編集部が厳選して紹介します。
地獄めぐりの合間に立ち寄りたい〈鬼石の湯〉
別府八湯のなかでも、特に湧出量が多いといわれる鉄輪(かんなわ)温泉。人気観光の「地獄めぐり」でも有名なエリアで、そのうちのひとつとなる〈鬼石坊主地獄〉の敷地内に〈鬼石の湯〉はあります。
木々の緑がまぶしい内湯と、その隣には広々とした露天風呂。さらに、露天風呂の脇にある階段を昇ると、2階には開放感あふれる展望風呂があります。目の前には緑が広がり、湯につかりながら森林浴気分も味わえます。そのほか、この施設には5種類の家族風呂も揃います。
こちらの温泉の泉質は、ナトリウムー塩化物泉。弱酸性の塩化物泉で、保湿成分のひとつであるメタケイ酸を多く含んでいるため、湯上がり後もしっとりとした肌が持続します。
入浴後は、喫茶スペースで〈鬼石坊主地獄〉や湯けむりを眺めながら、ゆっくり過ごすこともできますよ。
美肌効果も! 約1300年続く天然泥のお湯が自慢の〈別府温泉保養ランド〉
別府八湯のひとつ、明礬(みょうばん)温泉内にある〈別府温泉保養ランド〉も「地獄」と深い関わりがあります。こちらでは、733(天平5)年に編さんされた『豊後風土記』にも登場する〈紺屋地獄〉の鉱泥を使った温泉が楽しめるのです。
浴場の種類も豊富で、露天タイプの大浴場と小浴場、コロイド湯や蒸し湯などがあります。
大浴場と小浴場はいずれも混浴となりますが、出入口は男女別、また湯までの動線も見えないよう配慮されているほか、女性側と男性側の境界線に柵が立っていたり、入浴にあたってのルールも設定されていたりと、女性でも入りやすいような仕組みが整っています。
入浴中に、お湯の底から泥をすくって、体や顔に泥パックをしてみましょう。洗い流したあとの肌のツルツルさに、きっと驚くはずです。
浴場ごとに泉質が酸性泉または硫黄泉と異なる湯は、効能もそれぞれ。小浴場は自律神経や不眠症に効果がある一方、内湯となる地下鉱泥浴場は血行促進や肩こり、関節痛などに効果があると言います。
ただし、地下鉱泥浴場の泥湯は成分が濃厚なため、乳幼児から小学生までの入浴はNG。泥を顔に塗ることも禁止されています。
また、コロイド湯はやけどや皮膚病に、蒸し湯はのどの痛みや気管支炎に効果があると言われています。
温泉エンターテインメント満載の〈別府温泉 杉乃井ホテル〉へ
昭和19(1944)年開業。別府を代表する老舗ホテル〈別府温泉 杉乃井ホテル〉の日帰り入浴は、若い女性からファミリーまで幅広い層に人気です。
日帰りで利用できるのは、大展望露天風呂「棚湯」と、水着で遊べる屋外型温泉「ザ アクアガーデン」のふたつ。いずれも別府湾の大パノラマが眼下に広がります。
2023年7月には、大展望露天風呂「棚湯」が“五感で味わう別府体験”をテーマにリニューアルオープン。升湯(ますゆ)や音の湯が新設されたほか、サウナエリアの拡充によってロウリュウが楽しめるようになりました。
棚田状になっている「棚湯」は、上から①ガラスで仕切られた内湯、②雨でも安心して入れる庇つきの半露天、③もっとも幅広の浴槽で開放感たっぷりの露天、④足湯なども楽しめる露天、⑤先端部では寝湯ができる露天の5段で構成。このほか、ヒノキでできた樽湯や、展望サウナなども備えています。
泉質は、筋肉痛や冷え性、疲労回復に効果があるナトリウム塩化物・硫酸塩泉。無色透明でやわらかい温泉なので、子どもや肌の弱い人など、どんな人も入りやすいのが魅力です。
一方の「ザ アクアガーデン」は、言うなれば温泉エンターテインメント施設。巨大なプールサイズの温泉につかりながら絶景を楽しめる展望スパやオーバルプール、歩行浴などのほか、塩分濃度を上げた浴槽の中で浮遊体験ができる「フロートヒーリングバス」、温泉成分を含んだ泥でパックする「ファンゴセラピー」(有料)など、多彩なアミューズメントを体験できます。
水着着用で、カップルや家族が一緒に楽しめるとあって人気は上々。毎晩開催される噴水ショーも、2022年末からプログラムを一新し、噴水とプロジェクションマッピング、立体音響を組み合わせた幻想的なエンターテインメントが披露されています。
知る人ぞ知る〈いちのいで会館〉で絶景と青い温泉を楽しむ
JR別府駅から車で約10分。市内を流れる朝見川を渡り、急な坂道を350メートルほど登った先に〈いちのいで会館〉はあります。
「義父が、山懐にあるこの場所で温泉を掘削したのは40年ほど前のこと。長年、仕出し屋として営業していて、温泉は会館で食事をしてくれたお客さんへのサービスとして提供してきたんです」と店主の生永順子さんは話します。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大を機に、現在は日帰り温泉のみの営業となっています。「景観の湯」と家族風呂の2か所を、奇数日と偶数日で男女を入れ替えて使用しているそうです(奇数日は景観の湯が女性、家族風呂が男性。偶数日はその逆)。
「景観の湯」には2つの岩風呂(プールサイズの大浴槽は休止中)、そこから一段高いところに位置する家族風呂には3つの岩風呂があり、それぞれ別府湾を一望できます。
〈いちのいで会館〉温泉の最大の特徴は、なんと言ってもそのお湯の青さ。元々は無色透明な源泉が、時間が経つにつれて化学反応を起こし、光を反射して青乳色に見えるようになると言います。泉質は、筋肉痛や冷え性に効果のあるナトリウムー塩化物泉。
「うちは源泉かけ流しで、飲用もできるんですよ。味は、少し塩っぱいくらい。サラリとした湯ざわりでお肌がツルツルになるし、体もよく温まります」と生永さん。
全国ではもちろん、おんせん県おおいたでも珍しいとされる青湯。諸条件が合った時にだけ出合える稀少な温泉に、興味が高まります。
*価格はすべて税込みです
credit text:柿崎真英、坂本愛