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『あの卓が気になる』監督の吉田安さん | Page 2

Posted 2025.09.19
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大分のまちが好きだ。だから自分で動いた

高校は大分県立大分商業高等学校。部活は商業調査部。企業とのコラボで商品化されたものまである部活です。最近では研究発表会の九州大会や全国大会に出場し、ゴミ問題や食品ロスなどをテーマにした調査研究で高い評価を受けています。当時、吉田さんたちが手がけたテーマは、地元商店街の現状調査というものでした。

部活動で商店街の調査を進めていくと、漠然とした思いが、少しずつ現実の課題として迫ってきました。商店街を取り巻く厳しい現実と、それでもやっぱり魅力的な“私のまち”。

「高校のときに新しい商業施設ができたのですが、どの県にもある決まりきったもので、逆に衰退しているように感じました」

自分の力で何かできないか? 何かしたい。すると「学ぶことがない」と思っていた気持ちに大きな変化がやってきます。

「あれも学びたい、これも学びたいとなっていったんです。せっかくお金を払うのなら、広く学べる大学に行こうって」

入試では部活動での商店街の調査が評価され早稲田大学に合格し、上京することに。社会科学部に進むと、地域連携や都市計画などを学びました。あの好きだったまちをどうにかしたい──。明確な目標があったから吸収も早い。入学して2か月後には、大学や東京での日々で得た知識や体験をもとに、早くも自分なりの大分活性化の提案書をまとめます。

大分から離れた地だからこそ得られるものがあって、吉田さんの大分のまちへの思いはさらに募り、一歩を踏み出します。2019年3月、高校時代に調査した商店街で、シャッターで閉ざされていた店舗を、フリースペースとして活用するというプロジェクトを立ち上げたのです。

「どうしたら同世代がこのまちをいいところだと考えてくれるだろうって思って。そのきっかけとして何かに参加できることって大きいなって思ったんです」

何かができる場所。それがあれば、まちともっと関わって、良いところが見えてくるはず。

「私たちの世代って、『何もない』って言っている人ばかりだったけれど、私は母の影響もあり、『あるし!』って思っていました。それに、もし何にもないと思っているんだっら、逆に何でもできるわけですよね。私たち世代が欲しいものは自分たちが一番わかっている。その仕組みができていないだけ」

だから気づきの場として商店街のなかに場をつくる。あえて特定の使い方を決めずに利用する人たちが自由に考えられるようにする。それがコンセプト。

「どのように使いたいか」、「まちにどのような空間を望んでいるか」、「まちに何が必要か」など、アンケートや、来場者との直接の会話などから着想を得て、まちにフィードバックしていくのも目的でした。

「学生の遊びじゃないの? などの批判はありましたけど、知ったこっちゃないなあって思って(笑)。やったことがなかったけれど、何かやったら見えてくるんじゃないか。高校の調査のときにつながった商店街の大人のみなさんと仲が良かったからできたというのはありますね。応援していただきました」

友人の協力も得て、駆け抜けた冒険。吉田さんのなかではこの取り組みで得たこともあれば「できなかった」「足りなかった」と反省することもあったようです。ただ、「愛するまちのために自分ができること」に全力で取り組んだ経験は、吉田さんにとって大きな成果。その思いが行間からあふれたレポート本で、クラウドファンディングのリターンとしても使われた『開き店舗調査報告書~開き店舗がまちにあった20日間のおはなし』をまとめあげました。

調査結果をまとめたレポート
調査結果をレポートにまとめた『開き店舗調査報告書~開き店舗がまちにあった20日間のおはなし』。

そして、故郷から離れた場所で過ごす日々のなかで、子どもの頃からの夢であった世界へと飛び込みます。

大学卒業後、コント、バラエティ、映像のクリエイターという、まちの活性化とは違う道に進みましたが、今も、大分のまちで関わってきたこと、幼い頃から感じてきたことは吉田さんの作品づくりのベースにあります。

「何もないように見えるものが、発想の転換によって魅力的に映ることがあることを大分のまちから学びました。そしてそんな自分をかたちづくった、愛してきたまちのスポットもたくさんあります。東京でできた友だちを連れて大分に旅するときは『大分、よくね? よくね? 楽しいっしょ!』って感じです(笑)。ぜひみなさんにも大分の良いところを見つけてほしいですね」



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