ドイツ製の活版印刷機が並ぶ
連載|つづく、つなぐ、大分のなりわい

凹凸の質感にインクのかすれ、
手作業でしか生み出せない印刷物。
〈高山活版社〉が考える「これからの印刷」 | Page 2

Posted 2025.06.25
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今はもう製造されていない
貴重な活版印刷機を披露

それでは、実際に活版印刷の作業を行う部屋を見せていただきましょう。展示室の向かいにある「高山活版室」と呼ばれる活版資料室には、ハガキサイズの大きさまで対応した活版印刷機や、膨大な量の活字などが保管されています。

活字や凸版を使って活版印刷を行う部屋
活字や凸版を使って活版印刷を行う部屋として使われるほか、活版印刷の見学や体験ができるスペースとして一般の方にも公開しています。
壁一面にびっしりと並べられた活字
びっしりと並ぶ活字の数々。「熊本地震の影響で活字がかなり落ちてしまって」と話す高山さん。

「ここは活字を組んで活字活版を行う部屋になります。活版印刷を復活させた当時にわが社で唯一、活版印刷機を操れる部長は、活字を組むのは見よう見まねでやっていて。活版印刷が全盛の時代には、活字を拾う職人さん、それを組む人、刷る人、切ったり加工したりする人と、いろんな専門職の人が集まって印刷物をつくっていたんですよね」

大きなハンドルのついた、エンボス加工を施す機械
文字や模様のついた型を使って凹凸をつけ、浮き彫りにするエンボス加工を施す機械。かつては、名刺に会社のロゴマークをエンボス加工する依頼が多かったよう。

1階には、大型の活版印刷機のほか、オフセット印刷の機械が並ぶ工場があります。2台ある活版印刷機のうちの1台は、知り合いの印刷会社が規模縮小のため譲ってくれたものだそう。

黒みがかって重厚な印象のドイツ製の活版印刷機
ドイツ製で、現在はもうつくられていない貴重な機械。
活版印刷機につけられたエンブレム
50年前に活版印刷機を販売していたという知人にメンテナンスを依頼しながら、大切に使い続けています。

この工場や展示室は、不定期で開催されている工場見学ツアーやワークショップなどの機会に、一般の方も見ることができます。

「工場見学ツアーでは、手動活版印刷機を使って自分だけの活字カレンダーをつくっていただく時間も設けています。会社を開かれた場所にすることで、これからも多くの人に印刷の魅力を伝えていきたいです」と高山さん。

工場見学ツアーの一環でつくるカードサイズのカレンダー
工場見学ツアーでは、このようなカレンダーをつくることができるのだとか。

お酒のラベルやコメ袋、包装紙などこれまで手がけた商品が並ぶ
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