日本最強の城・岡城に
予約数年待ちの姫だるま。
宇賀なつみの竹田歴史さんぽ | Page 3
3代のお嫁さんが受け継ぐ縁起物「姫だるま」づくりを見学
最後は、江戸時代から続く竹田の伝統工芸品「姫だるま」をつくる〈ごとう姫だるま工房〉へ。
つぶらな目やおちょぼ口がかわいらしい縁起物のモデルは、旧岡藩下級武士の妻「綾女(あやじょ)」。頭頂部には太陽を意味するひし形が、側面には縁起物としての松竹梅が描かれており、家庭円満や商売繁盛の祈りが込められています。
かつて竹田には、各家庭が円満であるようにと正月に「姫だるま」を配って歩く「投げ込み」と呼ばれる風習がありました。しかし、市内に数軒あった工房は戦時中になくなり、「姫だるま」も姿を消すことに……。
それを昭和27(1952)年に、復活させたのが〈ごとう姫だるま工房〉の初代・後藤恒人さんです。江戸時代と同じ手法で、今も「姫だるま」をひとつひとつ手づくりするのは、恒人さんの長男の妻・明子(めいこ)さんをはじめ、3代にわたるお嫁さんたち。
「女性の笑顔は家庭を明るくさせるでしょう。姫だるまの微笑みで、みなさんにパワーを与えられたら、うれしいですね」と久美子さんは言います。
さっそく、製造工程を見せてもらいました。
まずは水に濡らした新聞紙を、木型に何重にも貼り合わせます。型ができたら、手漉きの和紙を上から貼って形を整えた後に乾燥。木型を取り出し、表面に顔料を塗っていきます。
体の赤色を塗るのは久美子さん、目や宝珠を描くのは明子さん、松竹梅などの細かい部分は宗子さんと、役割分担しながら作業を進めますが、すべて手仕事のため、ひとつの姫だるまをつくるのに1週間から10日ほどかかるといいます。
驚いたのは、御年84歳になる明子さんの、まったく迷いのない筆さばき。「早く夕飯を食べたいから、急いで仕上げないと」と茶目っ気たっぷりに笑いながら、ひと息に描きあげていく様子はまさに職人業です。
ひとつひとつ真心込めてつくられる「姫だるま」の製造工程を見学させてもらった宇賀さん。
「3代にわたるお嫁さんたちの和気あいあいとした会話が繰り広げられる工房にお邪魔して、幸せをお裾分けしていただいた気がします。とても微笑ましくて、あたたかくて、うらやましくて。後藤家のみなさんのお人柄のよさが、姫だるまからも伝わってきますね」とニッコリ。
竹田の今昔物語にどっぷり浸かった今回の旅。
初めて行ったのにどこか懐かしい、そんな体験を宇賀さんも堪能したようでした。
※価格はすべて税込みです
credit text:藤田佳奈美 photo:ただ hair & make:あきやまひとみ styling:近藤和貴子
special thanks:たけた駅前ホステルcue
衣装クレジット シャツ36300円、スカート25300円(ともにMARELLA)、イヤカフ16500円(ヴァンドームブティック/ヴァンドームブティック 伊勢丹新宿店)、リング8800円(プラス ヴァンドーム/プラス ヴァンドーム ジェイアール名古屋タカシマヤ店)、バッグ35200円(ダイアナ/ダイアナ 銀座本店)
以上、価格はすべて税込み。