川や鍾乳洞がサウナの水風呂に!?
おんせん県なのに温泉がないまち・
豊後大野の“アウトドアサウナ⽂化”とは?
大分市の南、宮崎県との県境に位置する緑豊かなまち・豊後大野市。
おんせん県にありながら温泉のないこの地で、今、サウナが人気となっているのをご存じでしょうか?
サウナといっても、浴場の一角にある空間のことではありません。
豊後大野で増えているのは、小屋やテント型のサウナを水辺に置いて、川や湖を水風呂に、周囲の環境を外気浴スペースにして楽しむ“アウトドアサウナ”!
実は豊後大野は、九州で唯一「日本ジオパーク」と「ユネスコエコパーク」の両方に認定されるほど自然豊かな土地。
そんな贅沢な自然環境を活かしたサウナが、今、続々と誕生しているのです。
川や鍾乳洞が水風呂に!? 友達や家族と非日常を楽しもう
現在、豊後大野でアウトドアサウナを展開しているのは、〈ゲストハウスLAMP豊後大野〉〈カフェ・パラム〉〈ロッジきよかわ〉〈稲積水中鍾乳洞〉〈リバーパーク犬飼〉の5施設。
なかでも、今年3月にオープンしたばかりの〈稲積水中鍾乳洞〉のサウナは、世界的にも珍しい水中鍾乳洞を活用した施設として、テレビやSNSで話題となりました。
川とは違って水の流れがないため、ひとたび鍾乳洞に入ると静寂に包まれ「まるで宇宙にいるような気分になれる!」と人気なのだとか。
5つの施設で体験できるサウナはすべて、薪ストーブで熱した石に水をかけ、その蒸気で暖まるフィンランド式のロウリュを採用。
水をかける量や回数によって自分好みに温度を調節できるほか、蒸気が全身を優しく包み、穏やかに温まるフィンランド式は、サウナ初心者や、これまでサウナが苦手だった人にも好評だそう。すべて水着着用での利用となるため、友達や恋人、家族と一緒に、非日常体験を楽しむことができます。
“アウトドアサウナ”が、豊後大野の魅力をひとつにつなげてくれた
豊後大野のアウトドアサウナ人気に火をつけたのは、〈ゲストハウスLAMP豊後大野〉のオーナーであり、〈おんせん県いいサウナ研究所〉の所長でもある、高橋ケンさん。
サウナ好きの高橋さんは、あるとき奥岳川の清流を見ながら「水風呂にしたら気持ちよさそう!」とひらめいたそう。
「川を水風呂代わりに使うアイデアは、はじめはただの思いつきでした。でも、豊後大野には16世紀頃につくられた岩穴の蒸し風呂〈辻河原石風呂〉があり、サウナが親しまれてきた歴史もある。何よりまちが誇る大自然には、サウナに適したきれいな川がたくさんありました。次第に、これはこのまちの魅力をひとつにつなげるキラーコンテンツになるんじゃないか、と思うようになったんです」
そんな考えを実現するため、高橋さんが仲間とともに立ち上げたのが、アウトドアサウナ協議会〈おんせん県いいサウナ研究所〉。
メンバーの地道な活動によって、ひとつ、またひとつと豊後大野にアウトドアサウナが増え、現在の5つの施設が誕生。今や「大分県のサウナ特区」と呼ばれるほどのムーブメントへと成長したのです。