大分の特産品〈関あじ〉〈関さば〉の謎に迫ります!
大分を代表する名産、関あじ・関さば。プリプリとした食感と、とろけるような味わいが特徴のブランド魚ですが、名前は知っていても、一般的なアジやサバとの違いまではわからないという人は多いのではないでしょうか?
関あじ・関さばの特徴は大きく分けて、こちらの4つ。それぞれについて詳しく説明していくと同時に、旬やおいしい食べ方もご紹介します!
特徴
1.「速吸(はやすい)の瀬戸」で佐賀関漁協の漁師が一本釣り
2. 船のいけすに放して生きたまま漁港へ
3.「面買(つらが)い」の後は、新魚(あらいよ)専用のいけすへ
4.「活けじめ」「神経抜き」で新鮮さをキープ
1.「速吸の瀬戸」で佐賀関漁協の漁師が一本釣り
大分県と愛媛県の間にある海域、豊後水道。なかでも、大分市の佐賀関(さがのせき)半島と愛媛県の佐田岬に挟まれた「速吸の瀬戸」と呼ばれるエリアで、大分県漁業協同組合 佐賀関支店に所属する漁師が一本釣りしたマアジやマサバのことを関あじ・関さばと呼びます。
瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかり合う潮流の速い豊後水道には、身が引き締まった魚が多く、この潮の流れがもたらす豊富なプランクトンのおかげで脂ののりもよくなると言われています。
さらに、「速吸の瀬戸」に生息するアマジやマサバは、ほかの海域の魚とほぼ交わることなく、独立した群れを持っていると考えられています。アジなら頭が小さく、よく肥えて、尻びれから尾びれの間を指す尾柄(びへい)がたくましいなど、ほかの海域で釣れる魚とは姿形や特性が異なることを、佐賀関の漁師たちは経験から知っていました。
そこから佐賀関で水揚げされる魚介類を「関もの」と称して、別格視してきたのが、関あじ・関さばのはじまりと言われています。
2. 釣ったらすぐに船のいけすに放して生きたまま漁港へ
一方で、豊後水道の潮の速さには、熟練した漁師さえも命がけを強いられます。海底の起伏が複雑で網を使った漁が難しかったことから、一本釣りによる漁を行うようになったといわれる佐賀関の漁師たち。
魚に傷をつけることなく釣れるこの漁法は、結果的に鮮度や品質の維持につながりました。また、釣った魚はすぐに船のいけすに放され、生きたまま漁港まで運ばれるため、ストレスによる味の劣化もないと言います。
3. 熟練の技による「面買い」の後は、新魚専用のいけすへ
漁港に戻って、まず行われるのは水面から魚の大きさを見極めて、おおよその重さを量り値付けする「面買い」という工程。はかりの上で魚が暴れて、身が傷つくことを防ぐための工夫で、「面買い」された魚は、港にあるいけすにすぐさま移されます。
さらに、釣られたばかりで興奮状態にある魚がほかの魚を傷つけてしまわないよう、新魚専用のいけすに入れて1日落ち着かせるという徹底した品質管理ぶりです。
4. 1匹ずつ手作業で行う「活けじめ」「神経抜き」で新鮮さをキープ
いよいよ出荷の段階になると、魚の血を抜き鮮度を保つ「活けじめ」、仮死状態にして身をやわらかく保つ「神経抜き」を1匹ずつ手作業で行います。
旬とおいしい食べ方
旬は、関あじが7月~9月、関さばが12月~3月。どちらも、刺身が一番おいしい食べ方です。引き締まった身の歯ごたえ、それでいて脂がのって口の中でとろけるような味わいは、佐賀関ブランドならでは。
関さばについては、脂の量が年間を通じて一定であることも研究からわかっています。その背景には、「速吸の瀬戸」にいるアジやサバは回遊せず、1か所の瀬に居つくという珍しい生態が関係しています。
「速吸の瀬戸」は、水温の変化が1年を通して少なく、さらにエサも豊富。魚たちにとって望ましい環境から瀬に住み付く「瀬付き魚」となるため、脂肪量の変化が少ないと考えられているのです。
大分県漁業協同組合 佐賀関支店の敷地内にある〈関あじ関さば直売所〉では、鮮魚(要事前予約)のほか、一夜干しやフライ、大分名物のりゅうきゅうなどの加工品も販売。一般の売場よりもお得に購入できるうえに発送も可能なので、お土産にぴったりです。
高級魚として全国に流通する関あじ・関さば。お取り寄せや地元の飲食店で味わうのもよいですが、本場・大分市佐賀関でいただく新鮮さは、また格別です。ぜひ佐賀関ブランドの違いを体感してみてください。
web:大分県漁業協同組合 佐賀関支店
credit text:柿崎真英 illustration:尾黒ケンジ