暑い季節だからこそ、入りたい温泉とは?
連日、全国各地で厳しい暑さに見舞われる日本列島。こんな季節は、お出かけ先に海やプールを選ぶ人も多いはず。そんな人におすすめしたいのが、湯の温度が低い温泉です。夏にこそ入りたくなる大分県の冷泉・ぬる湯の温泉を温度別でご紹介します。
14℃|この時期にしか入れない冷泉は夏でも震える冷たさ?!〈寒の地獄旅館〉
大分県の中西部に位置する玖珠郡九重町(くすぐんここのえまち)。日本一の高さを誇る歩行者専用吊り橋〈九重“夢”大吊橋〉のあるまちとしても知られています。〈寒の地獄旅館〉は、くじゅう連山のふもとで1928(昭和3)年に創業した老舗の温泉旅館です。
開湯はさらに古く、江戸末期の1849(嘉永2)年。その源泉は平均14℃で、毎分2トン超の豊富な湧出量を誇ります。こちらでは薪で温めた温泉だけでなく、7月から9月までの夏季のみ加温していない冷泉に入ることができるのです(温泉は2022年7月現在休業中)。
冷泉には水着を着て入ります。入浴後は体を拭かず、暖房室で体を温めることで、温泉成分が肌に染み込み、より効果が期待できると言います。2022年秋までに薪ストーブサウナが建設される予定で、完成後はサウナ利用者に限り夏季以外も冷泉の利用が可能になるようです。
25℃|ひんやりと心地よい温度の冷鉱泉を堪能できる〈赤川温泉 赤川荘〉
牧場や花公園など数多くの自然豊かな観光スポットがある人気のエリア、久住高原(くじゅうこうげん)。この高原に湧く秘湯として知られているのが赤川温泉です。開湯の歴史は古く、鎌倉幕府が成立する前の1185(文治2)年に、源頼朝による巻狩(現代の軍事訓練)中の兵士が発見したと伝えられています。
周辺10数か所で自然湧出する源泉のうちの3つを有するのが〈赤川温泉 赤川荘〉です。源泉は25℃の冷鉱泉。硫化水素と炭酸ガスを含んだ温泉は全国でも希少で、白濁したコバルトブルーの湯が特徴。湯の花の評判も高く、美肌の湯としても知られています。
内湯・露天風呂ともに加温した温泉と源泉かけ流しの冷泉があり、温泉と冷泉を交互に入る温冷浴が推奨されています。温泉水は飲むこともでき、玄関脇には飲泉場も設けてあります。くせが少なく飲みやすいため、入浴後の水分補給にもぴったり。
36℃|ぬる湯の高濃度炭酸泉でリラックス〈七里田温泉 下湯(したんゆ)〉
くじゅう連山のふもと、山あいの静かな場所にある〈七里田(しちりだ)温泉館〉。内風呂や露天風呂、うたせ源泉などが楽しめる内湯の〈木乃葉の湯〉と敷地の外、少し離れたところにある外湯の〈下湯〉があります。
36℃のぬる湯が楽しめるのは〈下湯〉で、その源泉は湯面に気泡がシュワシュワと浮かぶほどの高濃度炭酸泉。別名「ラムネの湯」とも呼ばれており、炭酸の濃度は〈ラムネ温泉館〉などで知られる近隣の長湯(ながゆ)温泉以上とも言われています。
歴史もかなり古く、弥生時代から湧く炭酸泉という記録もあるとか。湯量は毎分200リットル、湧いては流れる天然かけ流し。湯に浸かると体一面泡だらけに。炭酸によって血行が良くなるため、湯音は低めなのにいつの間にか体がポカポカしてきます。パチパチと泡が弾ける音を聞きながら入浴できるのも、この温泉ならではの醍醐味です。
今回ご紹介した温泉・冷泉は、どこも日帰り入浴ができるので、観光やお出かけついでに足を伸ばしてみてはいかがでしょうか? 夏のほてりと疲れをデトックスして、まだまだ続く暑い日々を乗り切りましょう!
*価格はすべて税込みです
credit text:柿崎真英