大分を再発見できるゲストハウス・民泊5選
大分旅行の宿泊先と言えば、温泉旅館が真っ先に思い浮かぶ人も多いかもしれませんが、最近人気なのがゲストハウスや民泊です。プライベート性の高い旅館やホテルと比べて、リビングなど共有スペースが確保されているゲストハウスでは、スタッフやほかの宿泊客と自然に交流を持てるのが特徴。
地元の観光名所めぐりやアクティビティ、ワークショップなどを開催しているところも多く、その土地ならではの暮らしを体験できるのも魅力です。
今回紹介する宿泊施設のオーナーは、皆さん県外からの移住者。ほかの地域で暮らしてきた経験があるからこそわかる大分のよさを、それぞれの視点から伝えています。
宿泊料は珍しい“投げ銭スタイル”〈さんかくワサビ〉
佐伯市中心部に位置する〈さんかくワサビ〉は、全国でも珍しい“投げ銭システム”を採用したゲストハウス。基本料金を1000円に設定し、プラスアルファで支払う額は宿泊者自身が決めるという仕組みです。お気持ち分の料金はチェックアウト時にお渡しする流れになっているので、実際に利用して感じたことを金額に反映するなど、判断基準は利用者次第。
オーナーの中村香純さんが投げ銭スタイルのゲストハウスをオープンしたきっかけは、自身が20代の頃にワーキングホリデーを通じて多くの旅をした経験から。旅ごとに、たくさんの人に助けてもらったという中村さん。以来、その恩を次の旅人にまわすことができたらという想いを持ち続けていたそうです。
同じ宿泊客でも、学生や会社員など立場はそれぞれ。ここでは、安定した収入がある会社員のお客さんが学生のお客さんに食事をご馳走するなど、お客さん同士がお互いに足りないものを補い合いながら交流を深めていく場面に遭遇することも日常なのだとか。一期一会やご縁を大切にしたいと思わせてくれるような場所です。
自然に囲まれた場所でのんびり田舎ぐらしを体験〈ノルブリンカ〉
国東(くにさき)半島の北部にあるゲストハウス・民宿〈ノルブリンカ〉。聞き慣れないノルブリンカという言葉は、チベット語で「宝の庭」という意味を持つのだそう。東京から移住したオーナーの武井啓江(たけいひろこ)さんが築90年の古民家を大工さんとともに改築してつくり上げました。
ここでは素泊まりのほか、農作業や保存食づくり、大工仕事など、武井さんと一緒に“暮らしの仕事”に挑戦できる体験型宿泊の2種類のタイプを用意しています。すぐそばの海や山、畑で育まれた恵みを採取・収穫したり、自然のなかでアクティビティを楽しんだりと季節ごとに内容を変えながら実施しています。
宿泊場所は、母屋2階と納屋2階に2部屋ずつあります。内装すべての材木に無垢の木、塗装は柿渋や荏胡麻(えごま)油などからつくった塗料を使用するなど自然素材にこだわってリフォームしたのだそう。お風呂は車で15~30分くらいの範囲にある温泉を利用します。
水郷・日田ならではのアクティビティも楽しめる〈やすらぎGuest house&Bar〉
山紫水明の地として知られるほど、豊かな水に恵まれた日田市。〈やすらぎGuest house&Bar〉は、その中心部を流れる三隈川沿いにあります。女将の杉森良美さんは30年ほど前に福岡からUターン移住。2012年に、かつて料亭だった建物をリノベーションして、このゲストハウスをオープンしました。
日田市のシンボルとして親しまれている三隈川では、近年スタンドアップパドルボード(通称サップ)の愛好者が増えており、2022年4月にはマイルレースが初開催されました。宿泊客も、希望すればサップを体験することができます。講師のサポート付きで、ボードやパドルなどのレンタルもあるので、初心者でも安心してチャレンジできますよ(水に濡れてもよいウェアは各自持参のこと)。
料亭の面影を残す客室は、2段ベッドの部屋と布団の部屋から選べるファミリールームと個室の計3部屋。ファミリールームの窓からは、穏やかに流れる川の眺めが楽しめます。ゲストハウスだからこそ味わえるローカルな雰囲気を体感できるはず。
本に囲まれた空間で心のゆくまま読書を堪能〈山香文庫〉
杵築市山香町(きつきしやまがまち)にある築150年以上の古民家で、“泊まれる文庫”をコンセプトに農村民泊を営む〈山香文庫〉。農村民泊とは、宇佐市安心院町(あじむまち)からはじまった「日本式グリーン・ツーリズム」のひとつで、ホームステイをするように農家に泊まり、地元の人とともに日常的な暮らしを体験することができるプログラムのことです。
オーナーの牧野史和さんは東京の大学を卒業後、杵築市で地域おこし協力隊としての活動を経て、完全移住。このまちとは縁もゆかりもなかったそうですが、移住フェアで偶然目にしたパンフレットに載っていた城下町の景色に心惹かれたと言います。地域おこし協力隊卒業後の2019年にパートナーの鯨井結理さんとともに民泊をオープンしました。
ここには全国各地から寄贈された本が数多く集まっています。もともとは、子どもたちが宿題をできるような場所にしようと、学生を中心に受け入れていたのだとか。自身でリノベーションしたという開放的で広々とした客室にも、多くの本が並んでいます。牧野さんがお手伝いしているという茶園の葉でつくったお茶を片手に、心ゆくまま物語の世界に浸るひと時は、本好きにはたまらないはず。
東京出身の若き女将が切り盛りする〈ゲストハウス臼杵家〉
臼杵市(うすきし)にある〈ゲストハウス臼杵家〉を切り盛りするのは、高校卒業後に18歳で東京から移住し、2022年で5年目を迎えた和氣日向(わきひゅうが)さん。観光名所の「二王座歴史の道」からすぐ近くにあり、街中へのアクセスも抜群ですが、住宅街にあるため、静かにゆっくり過ごすことができます。
庭にある手づくりの「縄文かまど」で羽釜を使ってご飯を炊く体験や、かまどで焼いたピザを食べられるコース、オーガニック農業のワークショップなども実施(要予約)。臼杵湾も徒歩圏内のため、釣りに行くのもおすすめです。
お部屋は広々とした和室と洋室を用意。wi-fi完備のため、ワーケーションやお試し移住の拠点として長期の滞在にもぴったりです。
大分県での移住を体験!
大分県では現在、移住者が経営するゲストハウスや民泊を利用した少人数制の宿泊型ツアー〈おおいた就楽旅行〉の参加者を募集中。各施設さまざまなアクティビティなどを用意し、地元の人との触れ合いも楽しみながら移住体験ができる内容になっています。今回紹介した施設もすべて対象となるので、移住に興味がある方はぜひこの機会に参加してみてはいかがでしょうか?
*価格はすべて税込みです。
credit text:柿崎真英