秋の夜長を幻想的に彩る〈大分三大竹祭り〉が開催!
全国一の真竹(マダケ)産地である大分県。その面積は、日本の竹林の約6割を占めます。そのため、県内では別府竹細工をはじめ古くから竹工芸が盛んで、さまざまな製品がつくられてきました。そんな大分の人々にとって身近な素材を使い、まちの活性化を図ろうと始まったのが今回ご紹介する竹祭りです。
どのイベントも、それぞれ趣向を凝らした見せ方で竹と光が生み出す幻想的な景観を楽しめます。新型コロナの影響もあり、〈大分三大竹祭り〉がそろって開催となるのは実に3年ぶり。そのため、例年以上に期待が高まっています。
臼杵市の城下町を竹ぼんぼりが照らす〈うすき竹宵(たけよい)〉
大分県南東部に位置する臼杵(うすき)市で、毎年11月の第1土曜・日曜に行われる〈うすき竹宵〉。1997年に始まったこのお祭りは、竹でできたぼんぼりの発祥と言われ、全国各地で開催されている竹祭りの先駆け的存在でもあります。
国宝・臼杵石仏をつくったとされる真名長者(まなのちょうじゃ)の伝説をもとに、都から両親の元へ里帰りする般若姫(はんにゃひめ)の御霊(みたま)を迎える様子を再現。2日間に渡って行われる「般若姫行列」は、祭りのメインイベントです。
例年約2万本の竹ぼんぼりとオブジェが臼杵城の城下町、二王座(におうざ)周辺を灯します。
「天領日田」の名残漂うまち並みを竹灯籠が彩る〈千年あかり〉
大分県西部に位置する日田市で、毎年11月の第2金曜から日曜にかけて行われる〈千年あかり〉。市の名産であるスギやヒノキの森を竹の浸食から守る活動の一環として、地元の有志によって開催されたのが始まりです。
舞台となるのは、江戸時代に徳川幕府の直轄地(天領)となり栄えた豆田町(まめだまち)周辺と、地区一帯を沿うように流れる花月川(かげつがわ)河川敷。天領だった当時の賑わいを再現する〈日田天領まつり〉と合わせて、2005年から続く秋の風物詩となっています。
重要伝統的建造物群保存地区にも指定されているこのまちを彩るのは約3万本の竹灯籠(2022年は2万本に縮小)。地元の人々を中心に、真心を込めてつくられています。
優しい灯りが幽玄の世界へ誘う〈たけた竹灯籠 竹楽(ちくらく)〉
大分県南西部に位置する竹田市で開催される〈たけた竹灯籠 竹楽〉。2000年に行われた〈岡城・城下町もみじフェスタ〉のなかで、武家屋敷通りに約3000本の竹灯籠が設置されたのを機に、今では約2万本の竹灯籠が城下町界隈を灯します。
竹楽に使用される竹灯籠は、30センチ、50センチ、70センチに切り分けた、長さの異なる竹3本を組み合わせるのが基本。彫刻などの加工を施さず、灯りは専用のろうそくのみを使います。神社仏閣や観光名所など、城下町を代表するスポットに竹灯籠が設置された風景は「竹楽八景」と呼ばれています。
山林が総面積の65%を占め、そのうち竹林面積は540ヘクタールを誇る竹田市。近年では〈里山保全百年計画〉という長期ビジョンをもとに、保全のために竹を伐採したり、役割を終えた竹灯籠の再利用などゼロエミッションにも力を注いだりしながら、イベント開催に取り組んでいます。
credit text:柿崎真英