ルーロー飯に豆花!
食で台湾とつながる〈玖珠的台湾飯店〉プロジェクト
大分県の中西部に位置する玖珠町(くすまち)。まわりを山々に囲まれたこの小さなまちで、〈玖珠的台湾飯店〉というユニークなプロジェクトが盛り上がりを見せています。
町内の飲食店で台湾料理を提供するという取り組みで、なかには串揚げ店やうどん店など、一見台湾と何の関係もないように見えるお店までもがオリジナルのメニューを販売しています。
きっかけとなったのは、2019年12月に行われた玖珠町と台湾の国鉄である〈台湾鉄路管理局〉の姉妹友好を結ぶ調印式。このまちが誇る鉄道遺産〈旧豊後森機関庫(きゅうぶんごもりきかんこ)〉と同じような形をした機関庫が台湾にも現存するという共通点が縁となり、始まった交流でした。
玖珠町と台湾をつないだ“扇型の機関庫”
ふたつをつないだ〈旧豊後森機関庫〉は、福岡県の久留米と大分を結ぶ旧国鉄久大線(きゅうだいせん)を走る蒸気機関車の格納庫として、1934(昭和9)年に完成。扇形のフォルムが特徴で、外壁には戦時中に米軍機が撃った機銃掃射の弾痕が今も残っています。
1970(昭和45)年にディーゼル車が導入されたことで、機関庫としての役目を終えましたが、2009年にはこの扇形機関庫と転車台が近代化産業遺産に認定されました。
そんな“機関庫”から深まった台湾との交流を、「食」を通して多くの人に知ってもらおうと始まったのが〈玖珠的台湾飯店〉です。取り組みに賛同した玖珠町の飲食店が試行錯誤して生み出した台湾料理は、日本でも馴染みのある魯肉飯(ルーローハン)や豆花(トウファ)、タピオカドリンクといったポピュラーなメニューにオリジナルのアレンジを加えた仕上がりとなっています。
2022年夏のスタート以来、メニューの追加や入れ替えなども行いながら、食を通して、台湾との関わりを広く伝えている玖珠町。今後新たな魅力のひとつとなり、“玖珠的台湾料理”を目当てに、このまちを訪れる人が増える日も近い?!
web:玖珠的台湾飯店 公式ホームページ
credit text:柿崎真英