大分県立美術館3階ホワイエ
ニュース&コラム

開館10周年を迎えた大分県立美術館(OPAM)で
アート鑑賞を楽しもう! 
特別な企画展が続々開催予定。

Posted 2025.04.24
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大分県立美術館 外観
〈大分県立美術館(OPAM)〉。建物自体も芸術作品のひとつと言えます。

大分駅から徒歩15分ほどの中心街に位置する〈大分県立美術館(OPAM)〉。建物の設計を手がけたのは、フランスの〈ポンピドゥーセンター・メス〉や、広島県の〈下瀬美術館〉などを手がけた建築家・坂茂さん。「街に開かれた縁側としての美術館」というコンセプトのもと、大分県産の杉や日田石の床材など県産材にこだわってつくられた建物は、それ自体が芸術作品のひとつと言えるほど。

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大分県立美術館 内観
館内は視界の妨げとなる柱を排除し、空調も床下に設置することで視覚的ノイズの少ない空間に仕上げるなど、坂さんのこだわりが随所にうかがえます。

そんな名建築としても特筆すべきものが多い〈大分県立美術館(OPAM)〉が2025年4月に開館10周年を迎えました。これを記念して、同館では4月26日から特別な企画展がテーマを替えながら、約1年にわたって開催されます。

第1弾となる『LINKS―大分と、世界と。』は、同館のコンセプトである「出会いと五感のミュージアム」にちなみ、人と人、人と作品との“出会い”がテーマとなっています。なかでも、目玉となるのは世界に3点しかないピカソ『ゲルニカ』(タピスリ)の展示です(展示は5月23日から)。

また、7月にはチームラボによる大規模展覧会が、そして2026年1月には『金曜ロードショーとジブリ展』が開催されるなど、注目の企画展が続々と予定されています。

この記事では、〈大分県立美術館(OPAM)〉の年間スケジュールをもとに、これから開催される記念展の詳細や、職員から寄せられた読者へのメッセージを紹介します。間もなくスタートするゴールデンウイークを利用して、大分市へアート鑑賞に出かけてみませんか?

企画展①『LINKS―大分と、世界と。』(4月26日~6月22日)

“出会い”がテーマの同展では、大分県にはじまり、視点を日本さらには世界へと広げ、作家の交流や作品との「出会い」が生んだいくつもの「つながり」=“LINKS”を紹介する内容となっています。

セザンヌ、モネ、ピカソ、岡本太郎らの名品に、大分県の近現代美術の代表作を加えた180点以上が時代や地域を越えて展示されます。

クロード・モネ『アンティーブ岬』
クロード・モネ 《アンティーブ岬》 1888年 愛媛県美術館蔵

なかでも、目玉となるのが5月23日から展示されるパブロ・ピカソの『ゲルニカ』(タピスリ)です。タピスリとは、つづれ織りの壁掛け(タペストリー)のこと。生前、ピカソは建築と芸術の統合を求め、自身の絵画作品を織物工房と共同してタピスリにするプロジェクトに取り組んでいました。

ピカソが織り師とともに制作した『ゲルニカ』(タピスリ)は3点。その1作目を購入したのは、アートコレクターとしても知られる、アメリカの第41代副大統領ネルソン・ロックフェラーでした。2・3作目は、フランスと日本にそれぞれ所蔵されています。

スペイン内戦時のゲルニカ爆撃をテーマに描かれた『ゲルニカ』。原画同様、平和への願いが込められた名作を大分県で見ることのできる貴重な機会となっています。

企画展②『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』(7月6日~8月17日)

竹久夢二『星まつ里』
竹久夢二 《星まつ里》 昭和初期 夢二郷土美術館蔵

同展は、大正ロマンを代表する竹下夢二の生誕140年を記念した回顧展。情緒あふれる『星まつ里』や新発見の油彩画『アマリリス』、初公開となる素描、帯『いちご』といった珍しい意匠など、最大規模となる約180点の作品が展示されます。

企画展③『チームラボ 学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち』(7月19日~9月14日)

チームラボ 《花と共に生きる動物たち》
チームラボ 《花と共に生きる動物たち》©チームラボ

世界中で1500万人以上が体験した同展がついに大分県へ! 色鮮やかな花々でさまざまな動物を表現した『花と共に生きる動物たち』と、「共創(共同的な創造性)」をコンセプトにした教育的なプロジェクト『学ぶ!未来の遊園地』の合同展示となっています。

『学ぶ!未来の遊園地』では、紙に描いた飛行機や鳥が目の前のデジタル世界に出現し、飛び回る「お絵かきフライト」など子どもから大人まで、他者とともに世界を自由に創造することを楽しめる内容になっています。

企画展④『きらめく日本美術 1300年の至宝展』(11月22日~2026年1月14日) 

田能村竹田『歳寒三友雙鶴図』
田能村竹田 《歳寒三友雙鶴図》 天保2(1831)年 個人蔵(大分県立美術館寄託) 重要文化財

同展では、宇佐神宮を中心とする八幡信仰や、禅宗、南蛮、豊後南画(ぶんごなんが)などの大分県の美術が、中央の美術と関連しながらも異なる特徴を持ち、豊かに拡がる様相が紹介されます。

また、戦国大名・大友宗麟(おおともそうりん)旧蔵の現存する茶道具が初めて一堂に会すほか、国宝・重要文化財を含む貴重な美術工芸品、およそ100点が公開されます。

企画展➄『金曜ロードショーとジブリ展』(2026年1月17日~3月31日) 

『金曜ロードショーとジブリ展』ポスター
作品の世界に迷い込んだような気分が味わえる展示や体験も充実。

2023年に東京で初開催し、その後全国を巡回している同展が大分県へやってきます! 1986年に『風の谷のナウシカ』を放映して以来、数々のスタジオジブリ作品を放映し続けている『金曜ロードショー』。

同展では、スタジオジブリ作品の公開年、そして金曜ロードショーで初放送された年がどんな時代だったのかを振り返りながら、映画の魅力に迫る内容となっています。

映画の世界に飛び込めるような展示空間や、圧巻のクオリティで“腐海”を再現した「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」も見ることができますよ。

以上、5つの企画展を控える〈大分県立美術館(OPAM)〉では、ほかにも周年イヤーを盛り上げるイベントなどが続々と企画されています。

大分県 芸術文化振興課 学芸員の柴﨑香那さんは、10周年を迎えた心境をこうコメントしています。

「大分県立美術館(OPAM)は、2015年4月24日に開館して、今年で開館10周年を迎えました。2月には来館者500万人を迎えるなど、みなさまにご愛顧いただき、誠に感謝申し上げます。

当館は“出会いと五感のミュージアム”をコンセプトに、さまざまな展覧会を行ってまいりました。そして開館10周年の今年も、多彩な展覧会を予定しています。

さらに、今年はキッズスペースの拡充など、アトリウムも充実させてお待ちしております。今後も、みなさまに多くの作品との“出会い”をご提供できたらと思っております。どうぞ大分県立美術館に足を運びください」

開館10周年を記念した注目の展覧会が目白押しの〈大分県立美術館(OPAM)〉へ感性を刺激しに訪れてみては?

Information
大分県立美術館(OPAM)
address:大分県大分市寿町2-1
tel:097-533-4500
access:JR大分駅から徒歩約15分、バスで約10分
営業時間:10:00~19:00(金・土曜~20:00、入場は閉館の30分前まで)
休館日:原則無休
web:大分県立美術館(OPAM)公式ホームページ

credit text:柿崎真英 photo:木寺紀雄(大分県立美術館外観・内観のみ)

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