うまみだけのオイル煮
連載|大分の“おいしい”を探して

大分のブランド乾しいたけ
〈うまみだけ〉を使った
豚スペアリブのピリ辛煮込みとオイル煮

Posted 2021.10.05
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旨みたっぷりの戻し汁まで使った煮込み料理。

大分県は、乾(ほし)しいたけの生産量が全国1位。量だけでなく、乾しいたけの品質を競う全国乾椎茸品評会でも、22大会連続の団体優勝を果たすほどの一大産地です。その大分の地で新たに生まれたブランドが〈うまみだけ〉です。

原木しいたけ
大分県では、樹齢15年ほどのクヌギの木を使った原木しいたけ栽培が行われています。写真提供:大分県椎茸振興協議会。

これまで乾しいたけは、形状(かさの開き方)に応じて、「冬菇(どんこ)」「香信(こうしん)」「香菇(こうこ)」の大きく3種類に分類。いろいろな品種が混ざり合っていたことから、同じパッケージに入ったものでも、戻す時間や風味に違いがあったと言います。

そこで、大分県が着目したのが品種でした。成分や味わいに特徴のある品種をフィーチャーして商品化。旨み、香り、歯ごたえの違いにより、現在では7品がラインナップしています。

クヌギの原木が並んだほだ場
クヌギの原木がずらりと並んだ「ほだ場」。同県のクヌギの蓄積量は日本一で、全国の22%を占めています。写真提供:大分県椎茸振興協議会。

厚みがありしっかりとした味わいの「115(いちいちご)」、やわらかな食感でマイルドな旨みが持ち味の「とよくに」、やさしい香りが特徴的な「ゆう次郎」、抜群の歯ごたえを楽しめる「にく丸」など。

すべて原木にシイタケ菌を植え付けて、1~2年がかりで時間と手間をかけて生育。乾燥させることで旨みをギュッと凝縮しています。メニューによって使い分けたり、好みのタイプを知ると、料理のレパートリーがグンと広がること間違いありません。

3種類の〈うまみだけ〉
左から、〈うまみだけ〉の「115」「とよくに」「ゆう次郎」。

今回、料理家・冷水希三子さんが料理に用いるのは、「115」と「とよくに」の2種類。あっという間に仕上がるオイル煮と、ピリッと辛味が効いた煮込みの2品をご紹介します。和食のイメージが強い乾しいたけを主役にした、洋風メニューは興味津々!

「乾しいたけは下ごしらえが大変と思う人もいるかもしれませんが、実は簡単。水と一緒にビニール袋に入れて口を縛り、冷蔵庫にひと晩入れておくだけなので面倒なことは一切ありませんよ」

調理中の冷水希三子さん
冷蔵庫で戻すとき、「空気を抜くと水にしっかりと漬かり浮かんでこないんですよ」と冷水さん。

1品目は、「とよくに」を使った「うまみだけのオイル煮」です。

「『とよくに』は、やわらかい食感ですっと噛み切れるのが特徴。すぐにつくれて食べやすい前菜に向いていると思い、このメニューが浮かびました」

かさの部分を鍋に入れる
〈うまみだけ〉の軸は切り落とし、かさの部分を使います。軸は、細かく刻んでチャーハンや野菜炒めに加えたり、味噌汁に入れるのもおすすめです。

冷蔵庫でひと晩置いた「とよくに」は、軸を切り落としてかさの部分を使います。

「大きければ半分にカットします。戻し汁はザルで漉してホコリやゴミを取り除き、ニンニクは半分に切って芯を取り、ドライトマトは熱湯に漬けて戻します」

戻し汁も鍋に入れる
3大旨み成分のひとつ、グアニル酸を豊富に含む乾しいたけ。旨みがたっぷり出た戻し汁も料理に使います。

鍋に、「とよくに」と戻し汁、ニンニク、ドライトマトを入れ、タイムとオレガノも加えて、ひたひたになるまでエキストラヴァージン(EXV)オリーブオイルを注ぎます。

オリーブオイルを鍋に注ぐ
ハーブも投入
ハーブは、タイムの代わりに、ローズマリーやマージョラムを使ってもOK。

「中火にかけて沸騰したら弱火にして15分、アクを取りながら煮れば完成です。器に盛りつけたあと、鍋に残った煮汁はパスタを炒めるときに使ったり、炊飯の際に加えて炊き込みご飯にしてもおいしいですよ」

煮汁も一緒にお皿へ
旨みが溶け出した煮汁も一緒に盛りつけます。

オリーブオイルだけではなく、「とよくに」の戻し汁もたっぷりと使って煮るため、あっさりと軽やかな印象。軽くトーストしたバゲットを添えるのもおすすめです。

完成したうまみだけのオイル煮
パンにつけるのはもちろん、ご飯にかけてもおいしい!

うまみだけと豚スペアリブのピリ辛煮込み
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