屋形船に温泉、川魚。
宇賀なつみが水郷・日田を遊び尽くす
水の流れをぼんやり眺めていると、心に溜まった澱(おり)も流れていくような感覚になりませんか?
九州北部のほぼ真ん中に位置する大分県日田市は、多くの川が流れ込むことから、豊かな水に恵まれた山紫水明(さんしすいめい)の地として知られています。そんな“水郷(すいきょう)・日田”へ、フリーアナウンサーの宇賀なつみさんが癒しを求めて訪れました。
屋形船でまったり、鵜飼いにびっくり、天ヶ瀬温泉でゆったり……。日田の水の魅力をお届けします。
水郷・日田の「天ヶ瀬温泉」でのんびり散策
やってきたのは、別府、由布院に並ぶ豊後三大温泉のひとつ「天ヶ瀬温泉」。
たっぷりのお湯を張ったバスタブに肩まで浸かるのが、朝晩の習慣だという大のお風呂好き、そして温泉好きな宇賀さん。天ヶ瀬ではどんな温泉に出合えるのでしょうか。
玖珠川沿いに位置する開放的なふたつの共同露天風呂へ
最初に訪れたのは、温泉街を流れる玖珠川(くすがわ)の河川敷。なんと、このオープンな場所に観光客も入れる共同露天風呂、通称・川湯があるのです。〈神田湯(じんでんゆ)〉と〈薬師湯〉の2か所は湯あみ着や水着を着て入浴できるので、女性でも安心。
温泉に近づくにつれ、「硫黄の香りがしてきた……」とつぶやく宇賀さん。そっと手を入れて、「冷え込んだ朝にはちょうどいい湯加減。やわらかな湯ざわりにも癒される〜!」と大喜び。
利用方法も簡単です。温泉の側にある赤いポストに入浴料100円を入れるだけ。ただし、ロッカーや更衣室はないので、着替えには工夫が必要。タオルや石けん、シャンプーなどもないので、事前準備をお忘れなく。
老舗〈菓舗 田代屋〉の味を温泉街で食べ歩き
温泉街を歩いていたら、そろそろ小腹が減ってきました。天ヶ瀬温泉の散策中に立ち寄りたいのが、昭和28(1953)年創業、親子3代で営む和菓子店〈菓舗 田代屋〉です。
実はこのお店、2020年に九州をはじめ各地を襲った「令和2年7月豪雨」で床上約2メートルまで浸水し、甚大な被害を受けました。しかし、「まちと一緒に復興して温泉を盛り上げていきたい」という4代目・田代啓介さんの思いから、21年7月末にリニューアルオープンしたばかりなのです。
地元の人に愛されているのはもちろん、温泉街ならではの食べ歩きグルメの店としても人気の〈菓舗 田代屋〉。名物のそば饅頭に加えて、啓介さんが新たに考案したアイテムも評判です。
なかでも人気なのが、タピオカ粉を使用した、むっちりとした歯ごたえの〈天ヶ瀬あんぱん〉。黒糖のようなコクは「生地の焼き時間を長くして香ばしさを引き立てているから」と言います。
また、湯上がりにおすすめなのは、“溶けないアイス”として話題の〈葛もちアイス〉。葛粉を使っているから溶けにくいうえ、もっちり&ねっとりとした食感を楽しめます。
手湯や足湯を楽しんだ宇賀さんが選んだのは、ほうじ茶ミルク。
「温泉から上がると冷たいものが食べたくて。〈葛もちアイス〉は普通のアイスより冷たすぎないから、体が冷えなくていいですね。なかなか溶けないので、散策しながらゆっくり味わえます」(宇賀さん)
水しぶきが空に舞う桜滝でマイナスイオン浴
温泉街の近くには、大きな高低差がなく“ラクして行ける秘境”としてメディアでも取り上げられたことのある桜滝があるので、行ってみることに。
桜滝は江戸時代より文人墨客に愛された天瀬六瀑(あまがせろくばく)のひとつで、「砕け散ること花の如く、流下することすだれの如し」と、江戸時代に編纂された地誌『豊後国誌』に書かれています。確かに、岩に打ちつけられて舞う繊細な水しぶきは、まるで桜の花の散り際のようで美しいこと、この上なし。
「気軽に来られちゃうのに、こんな荘厳な景色を見られるなんてすごい!」と宇賀さんも驚きを隠せませんでした。
〈山荘 天水〉で桜滝を見下ろしながら極上の露天風呂体験
天ヶ瀬温泉で最後に立ち寄ったのは〈山荘 天水〉。人気の温泉旅館ですが、立ち寄り湯としても利用できるんです。
約1万坪の広大な敷地には、豊かな緑を縫うようにして渡り廊下や回廊が設けられており、目的地へ向かっている間はまるで散策しているような気分に。
そうしてたどり着いたのは、露天風呂〈滝観庵〉。桜滝の絶景を上から眺めながら、ゆったり贅沢な時間を過ごせます。
宿には、宿泊客専用の露天風呂や内湯もあるので、せっかくなら1泊してすべてを体験したいものですね。