「絵本のシーンみたい」と話題!
森から現れる姿が幻想的な久大本線
うっそうと茂る森の中から現れる1台の列車……。
今年5月、この写真がSNSに投稿されると「神秘的!」「まるで絵本のシーンみたい!」と多くの人から称賛のコメントが寄せられました。
列車が走っているのは、福岡県の久留米駅と大分県の大分駅を結ぶローカル線〈久大本線(きゅうだいほんせん)〉。「ゆふ高原線」の愛称で親しまれる、全線が電化されていない鉄道路線で、写真は知る人ぞ知る人気の撮影スポットで撮られたものなんです。
そこで今回は、この写真の詳細に加えて、久大本線の車窓から見える自然、そして、その風景を満喫するのにうってつけな観光列車〈ゆふいんの森〉についてご紹介します。
撮影ポイントは〈鳴子川橋梁〉
写真が撮られた場所は、鉄道好きには言わずと知れた久大本線の人気撮影スポット。引治(ひきじ)駅と豊後中村駅の真ん中あたりに位置します。写真は、豊後中村方面から走ってきた列車が杉林を抜け、鳴子川橋梁(なるこがわきょうりょう)を渡る直前の瞬間をとらえたもの。
車で行く場合は九重(ここのえ)ICから車で8分ほど、列車利用なら引治駅から豊後中村駅方面に向かって、線路を左手に見ながら15〜20分ほど歩いたポイントです。目印となる最寄りのスポットは〈陣の内生活改善センター〉か〈釘野城跡〉の2つ。
立入禁止区域や私有地、線路には立ち入らず、マナーを守って撮影を楽しみましょう。
久大本線の車窓から見える大自然
せっかく久大本線を訪れるなら、列車に乗って車窓から豊かな自然を満喫するのもおすすめです!
筑後川を渡って福岡県から大分県へ入ると、まず見られるのが緑色の湖面が印象的な「夜明ダム」。天ヶ瀬(あまがせ)駅を過ぎると、玖珠(くす)町の観光名所である、珍しい二段落としの「慈恩(じおん)の滝」が右手に現れます。野矢(のや)駅からは窓外に杉林を、由布院駅が近づくと由布岳を正面に望みながら進んでいきます。
その間も、伐株山(きりかぶやま)、三日月滝など、大分県が誇る大自然の光景が続きます。
博多方面から向かう場合は、見所が集まる進行方向の右側に乗るのがおすすめです。
緑豊かな景色を楽しむ列車旅におすすめ〈ゆふいんの森〉
久大本線には現在、普通列車のほか、特急列車〈ゆふ〉、〈ゆふいんの森〉、九州の風光明媚な路線をめぐるクルーズトレイン〈ななつ星in九州〉の4種類の列車が走っています。
その中で今回紹介するのが、博多〜別府間をつなぐ全席指定の特急列車〈ゆふいんの森〉。
〈ゆふいんの森〉には、1989年の運行開始時から走り続けるⅠ世(ゆふいんの森3・4号で運行)と、〈ななつ星in九州〉や〈或る列車〉なども手がけた工業デザイナー・水戸岡鋭治さんがデザインしたⅢ世(同1・2・5・6号で運行)の2タイプがあります。
どちらも、木の温もりあるモダンな空間に、クラシカルな照明やシートがあしらわれた落ち着きあるインテリアが魅力。客室の床が通常より高い位置にあるハイデッカー構造となっているため、いつもと違う目線で景色を楽しむことができるのもうれしいポイントです。
景色以外にも、列車の旅を満喫できるサービスが盛りだくさん。
車内販売では、事前予約限定のお弁当のほか、かぼすアイスやゆずみつスカッシュ、ゆふいん麦酒など由布院の名店が手がけたスイーツやドリンクを提供。Ⅰ世(ゆふいんの森3・4号)にはビールサーバーを搭載しており、列車内で生ビール(500円)を味わうこともできます。*1
日付が入った〈ゆふいんの森〉オリジナルパネルを使って撮影してもらえたり(子どもは乗務員の制服も借りられます)、パブリックスペースでは由布院到着前に客室乗務員による観光案内が行われたりなど、うれしい車内サービスも。*2
福岡県と大分県をはしご旅するときなどにピッタリの〈ゆふいんの森〉。乗車券は1か月前から販売されるので、利用の際は早めの予約がおすすめです。
*1:2021年9月現在、新型コロナウイルスの影響で酒類の提供制限、お弁当及び一部商品の販売を中止しています。
*2:新型コロナウイルスの影響によりサービス内容に変更が生じている場合があります。
web:JR九州公式サイト内 [特急 ゆふいんの森]
*価格はすべて税込です。