皿に盛られたひじきの煮物
ニュース&コラム

収穫のチャンスは年に2日間
高級品を超えた〈幻の2日ひじき〉

Posted 2021.12.23
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大分県国東(くにさき)半島先端の向こうにある、人口約1600人の小さな島、姫島(ひめしま)。この島には、1年のうちたった2日しか採れないひじきがあります。

その名も〈幻の2日ひじき〉。

通常、ひじきの収穫時期は3〜4月が一般的で、高級品の「寒ひじき」は1〜2月。新芽であればあるほど風味豊かで茎までやわらかく、おいしく食べられるのです。

一方、〈幻の2日ひじき〉が採取されるのはそれよりもさらに早い12月。食感も風味も別格で、「一度口にするとほかのひじきは食べられない」と言われるほどの味わいです。

〈幻の2日ひじき〉ができるまで

2日ひじき収穫の様子

〈幻の2日ひじき〉の漁期は、底冷えする寒さが続く年の瀬の大潮の2日間。

満月か新月の夜、普段以上に広い干潟が姿を表す23時頃になると、島の女性や漁師が一同総出で作業にかかります。収穫できるのは潮が引いている3〜4時間だけ。岩を覆うようにして生育しているひじきを、鎌を使って根本からどんどん刈り取っていきます。

磯から上がったひじきは、島のおばあちゃんが代々継承してきた伝統の「大釜薪炊き製法」で炊き上げられます。

ひじきを釜で茹でているところ

最近はステンレス釜で炊かれるひじきも少なくありませんが、〈幻の2日ひじき〉に使う大釜は鉄製。また、ゆでる水には太古の昔から島に湧き出る鉄分豊富な炭酸温泉水を使用しており、加工の過程でひじき自体の鉄分もさらにパワーアップしていきます。

ひじきを釜で茹でているところ
ひじきを炊き上げる風景は、今や島の風物詩となっています。

炊き上げた後は天日干しに。冬の太陽の光と自然の風をいっぱいに浴びたひじきは、機械乾燥とは違い、驚くほどやわらかな仕上がりになります。

これらすべての工程が、すべて島民による手作業で行われています。

ひじきを天日干しにしているところ
ほされているひじき(生)
干されているひじき(乾燥)
こうしてできあがるひじきは毎年300〜400キロほど。15グラム756円で販売されています。

誕生のきっかけは、島の女性たちのおいしさへのこだわり

2日ひじき収穫の様子

〈幻の2日ひじき〉が生まれた背景には、島の女性たちの「おいしさ」へのこだわりがありました。

今でこそ島が誇る逸品となっているひじきですが、もともとは産業化しておらず女性たちが家で食べるために収穫していたもの。よりおいしく食べられる収穫時期を追求し、辿り着いたのが年末の大潮の2日間だったのです。

幻の2日ひじき商品画像
次第にそのおいしさが島外の人からも注目されるようになり、商品化したのが〈幻の2日ひじき〉です。

普通のひじきは水で戻しただけではひと味足りないこともありますが、〈幻の2日ひじき〉はそのままサラダにしてもおいしく食べられるのが特徴。食感はシャキシャキ、爽やかな海草の風味も豊かで、調理するのが惜しくなるほどの新鮮な味わいです。

その味が認められ、2016年には、国が主催する農林水産物のコンテスト「フード・アクション・ニッポンアワード2016」を100倍以上の倍率を勝ち抜いて受賞しています。

採れたて、つくりたてが味わえるチャンスはもうすぐ!

皿に盛られたひじきの煮物

今年の収穫は少々後ろにずれ込み、1月頃を予定しているとのこと。

新しく収穫した分は2022年2月2日から販売開始するそうなので、ぜひそのタイミングを狙って、採れたて、つくりたての一品を味わってみてはいかがでしょうか。

*価格はすべて税込です。

credit text:坂口 ナオ

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