温泉名人に聞いた、
“温泉愛”溢れる4つのこだわり
入浴のとき気をつけたいポイントは? 温泉名人が持っているこだわりのアイテムは? 初心者でも温泉の知識を少し頭に入れておくと、その楽しみは何倍にも膨らみます。温泉にまつわる難関試験を突破し、〈温泉マイスター〉の資格をもつ温泉名人たちが教えてくれた“温泉愛”溢れるこだわりをご紹介します。
温泉名人のこだわりその1
「温泉入浴の心得」
温泉では「汝、客と思うなかれ」といわれます。お金を払っているのだ、サービスしろではなく、地球の恵みをいただいていると感謝して入る気持ちが大切です。
「湯をお借りします」と声をかける人に感心したことがあります。このような姿勢をもてば、自然と行動に現れます。
入浴前に身体を洗う、立って湯を浴びない、浴槽のフチに腰かけない、身体を拭いてから更衣室に上がるなど、同浴者や後浴者に不快な思いをさせないよう、気を付ければ難しくはありません。
また、温泉好きとして気を付けたいのは、「湯を制覇する」という言葉です。奥深い温泉の世界は汲めども汲めども魅力が尽きない、制覇など不可能な魔境なのですから。
【温泉名人が伝授! 温泉入浴の心得】
・入浴前に身体を洗う
・立って湯を浴びない
・浴槽のフチに腰掛けない
・身体を拭いてから更衣室に上がる
温泉名人のこだわりその2
「湯の個性を楽しもう!」
名湯とはどんな湯でしょうか。温泉名人と呼ばれる人は湯の“個性”を評価しています。温泉は一湯一湯みな個性が違い、ひとつとして同じ湯はありません。色、香り、味、湯ざわりを五感で感じ取り、湯の個性を心ゆくまで味わい、こんな湯があったのかと感動することこそが湯めぐりの醍醐味。オンリーワンの個性がきちんと前面に出て見事に花開いている湯に出会うと、思わず「名湯だ!」と口走ってしまうのです。
温泉名人のこだわりその3
「温泉の個性がわかる温泉分析書って?」
みなさんは浴室に掲示されている温泉分析書をご存知ですか? 温泉の成分や入浴や温泉を飲むときの注意事項などが記載されていて、これが読めると温泉めぐりは格段に楽しくなります。
まずは成分総計をチェック。1000が単純温泉か塩類泉かの境目で、これより多いと“塩化物泉”、“炭酸水素塩泉”など立派な泉質名が付きます。
次にpHを見ましょう。0〜14で、7付近が中性。酸性だと数字は小さく、アルカリ性だと大きくなります。pH3以下は酸性泉で刺激的な浴感、pH8以上でミネラルが少ないとヌルヌルする美人湯系です。
注目度が急上昇しているのは保湿成分のメタケイ酸(H2SiO3)。3ケタだと立派な保湿系の湯で、大分県にはとても多いのです。
自分の好きな成分が見つかると、入湯がよりおもむき深いものになりますよ。
温泉名人のこだわりその4
「湯めぐりの七つ道具」
温泉名人たちは温泉を存分に堪能するために、こだわりの七つ道具を持っています。お気に入りのタオル持参をはじめ、源泉が熱くて手で触れられない時に使う飲泉用のコップなど。文字で記録したい人は、脱衣所で湯の印象をタブレットやスマホで“執筆”します。
また、pHメーターや試験紙で酸性かアルカリ性を調べて喜ぶ、数値好きも。中にはORP計という湯の鮮度が測れる機材を持ち込み、引き湯の距離を推定するツワモノもいるんです。
新鮮な温泉は個性がより前面に出て素晴らしいもの。湯にこだわりを持てば自然と身に付ける道具も洗練されていきます。ぜひ、自分に最適な七つ道具をみつけて、温泉に出陣しましょう!
温泉名人たちの心得や個性を楽しむスタンスは、温泉ビギナーでも大切にしたいですね。また、「温泉分析書」は覚えておくと、大分はもちろん、他の温泉地を訪れたときにも役に立つはず。温泉名人のこだわりを知って、違った角度で温泉を楽しんでみては?
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※この記事は、斉藤雅樹(東海大学海洋学部教授)さん監修の『おおいた おんせんガイドブック』を再編集したものです。