大分の温泉名人が教える!
【日田・耶馬エリア】の大自然に囲まれた
立ち寄り湯3選
日本有数の温泉地としても知られる大分県。湯めぐり旅行をしたいと思っても、数が多すぎて迷ってしまいますよね。そこで、温泉にまつわる難関試験を突破し、〈温泉マイスター〉の資格をもつ温泉名人が、ふらっと立ち寄れる日帰り温泉をエリア毎にセレクト。今回は、九州の小京都と呼ばれる風情たっぷりのまち並みや美しい風景が見どころの【日田・耶馬エリア】の名湯を3か所ご紹介します。
※掲載情報は2021年1月時点の情報です。新型コロナウイルスの影響で営業時間、料金などが異なる場合があります。詳しくは施設の公式HPなどでご確認ください。
美しい景観と温泉がセットで楽しめる日田・耶馬エリア
大分県の北西部に位置する日田(ひた)・耶馬(やば)エリアは、多くのカメラマンたちがこぞって足を運ぶ全国的に有名な紅葉の名所や九州唯一の扇形機関庫が残るスポットなどがあります。日田市の温泉のなかでも、とくに有名なのが「天ヶ瀬(あまがせ)温泉」。
開湯1300年という長い歴史をもち、別府温泉・由布院温泉と並んで「豊後(ぶんご)三大温泉」と称されています。天ヶ瀬温泉には、日田に向かって流れる玖珠(くす)川の川岸に5つの共同露天風呂があり、立ち上る湯煙は温泉情緒たっぷり。
川のせせらぎを聞きながら浸かる露天風呂は最高のひとときをもたらします。近くには年間200万人もの参拝客が訪れる子宝神社の「高塚愛宕地蔵尊」があり、温泉と合わせて訪れる人も多くいます。中津市の温泉は、数こそ多くないものの、四季折々に姿を変えるすばらしい景観と、肌触りのよい湯上り爽快な泉質の良さが自慢です。
また玖珠(くす)町には町内に広く温泉が点在しており、観光はもちろん、登山客や湯治目的にやって来る人も多く、バラエティ豊かな温泉が楽しめます。
湯量豊富な源泉掛け流し「九日市温泉 万年の湯」
万年と書いて“はね”と読む「九日市温泉 万年の湯」は、とにかく湯量が豊富。耶馬渓溶岩の巨石でできたみごとな岩風呂には、泉温53.9℃の炭酸水素塩泉系の源泉が惜しげもなく注がれています。男湯には2つの露天があり、大浴槽はややぬるめで小浴槽はやや熱め。女湯には内湯もあります。大浴場は100円と驚きの安さもうれしいですね。
大自然を眼下に「深耶馬溪温泉 若山温泉」で癒しのひとときを
渓流に手が届きそうな混浴露天風呂が自慢。湯は45.0℃の単純温泉で、かすかにツルツル感があります。湯が太陽の光に金色に輝き、川向こうの紅葉に彩りを添える美しさにも注目。混浴に抵抗がある方には男女別の内湯もあります。
ゆったり流れる玖珠川を眺める「駅前温泉」
天ヶ瀬(あまがせ)温泉は、古来より伝わる豊後国風土記にも登場する歴史ある温泉地です。玖珠川の河原に5つの共同浴場があり、いずれも混浴で100円と安価。駅からすぐの場所にある「駅前温泉」は天ヶ瀬らしい硫黄泉で、玖珠川の流れを眺めながら浸かると、開放的な気分に。
温泉名人のこだわり! 温泉道
Profile 甲斐心也(海心堂)名人
別府八湯温泉道第118代永世名人、九州温泉道泉人、奥豊後温泉郷マイスター、黒川温泉湯巡り達人、温泉マイスター&シニア・マイスター、温泉ソムリエ、別府八湯検定準カリスマ。県内の温泉を中心に湯巡りを続け、入湯記録をブログ公開中。
私はお風呂セットを竹製の湯かごに入れて持ち歩いています。濡れたタオルを入れても、布製のバッグより風通しがいいですからね。今使っているのは竹田市の竹工芸作家桐山浩実氏の作です。温暖な気候で竹林に恵まれ、温泉地別府の繁栄の中で、土産物や湯治の調理器具として伝統工芸品「別府竹細工」が生まれたのです。
大自然を望みながら、じっくり湯に浸かると身も心も洗われるよう。日田・耶馬エリアは温泉へ向かう途中にも自然が多く、歩くだけで都会の喧騒を忘れ、肩の力が抜けていきます。四季ごとに美しい景色も楽しめるので、カメラの準備も必須ですよ。
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※この記事は、斉藤雅樹(東海大学海洋学部教授)さん監修の『おおいた おんせんガイドブック』を再編集したものです。