これまでにない宿泊体験を!
大分県内に点在する話題の滞在型アートプロジェクト〈不時泊〉
2024年6月、大分県内の数か所にアートと自然を楽しむための1日1組限定となる宿泊施設がオープンしました。
手がけたのは、数々のランドスケープデザインやコンセプトデザイン、トータルデザインを担当し、国内外で高い評価を受けている風景司・団塚栄喜(だんづかえいき)氏。
東日本大震災で被災した経験から、この先、何が起ころうとも自然と対峙しながら対応できるためのスキルをアートに昇華して伝えることができないかという想いを抱き、この滞在型アートプロジェクトとなる〈不時泊〉を立ち上げたといいます。
プロジェクトの中心となる地には自身の故郷である大分県を選び、竹田市に3軒、佐伯市の離島に1軒、そして神奈川県横須賀市に1軒と、それぞれ異なる5つのコンセプトから成る宿泊施設をデザイン。
団塚氏が各地の土地に触れ、自然と共存、共鳴しながら、約8年の歳月をかけて完成させた施設は、どれもコンセプチュアルなアプローチでありながら、かつてそこに暮らした人々の原風景に触れることができるような唯一無二の空間となっています。
今回は、そんなまったく新しい魅力を持つ宿泊施設のなかから、大分県内にある4軒を紹介していきます。
PERMA(パーマ)|竹田市竹田町
竹田市の中心部に位置し、JR豊後竹田駅から徒歩8分ほどの場所にある〈PERMA〉は、「再生可能エネルギーで城下町に暮らす『結泊の家』」がコンセプト。
ユニークな施設名は、かつてこの建物が昭和の時代から人気のパーマ店だったことに由来しているといいます。そんな当時のハイカラな意匠も残しながらリノベーションしたこの施設には、6タイプの客室を用意。6人まで宿泊することが可能で、ワーケーション利用もできます。
そして、最大のポイントとなるのが、シャワーの温水には太陽熱、クーラーには井戸水を活用するほか、暖房設備は薪ストーブを取り入れるなど、再生可能エネルギーで利用できる設備を多用している点です。電気やガスがなかった頃の暮らしを体験することで、未来のライフスタイルが見えてくるのではないかという期待が込められています。
address:大分県竹田市竹田町 238(チェックインの場所は別。予約後に別途連絡あり)
access:JR豊後竹田駅から徒歩約8分
定員:1~6名
check in / out:チェックイン14:00〜17:00/チェックアウト14:00
料金:1棟1泊132000円 ※薪ストーブ・竈門(かまど)利用の際には、薪代(1日あたり5500円)が別途追加
IROA(色空)|竹田市久住町
くじゅう連山の麓にある〈IROA〉は、「高原と星空に抱かれ、宇宙の一部であることを知る『空泊の家』」がコンセプト。
眼前に広がるのは、何十万年も前から変わらぬ高原と山岳の風景。その高原と山々と空に向かって開かれた建築は、ドイツ語でテントを意味するツェルト型のコンクリートシェルターとなっています。
この施設には電気・ガス・水道が通っていないため、滞在中はスタッフが汲んできた湧き水を使用するほか、薪を使ったBBQや屋外バスで食事と入浴を行います(必要に応じて、不時泊シェフや不時泊シェルパの出張対応も可能。要予約・別料金)。
夜は満天の星空の下、焚き火の揺れる炎を見ながら、大自然を満喫するのもおすすめです。
address:大分県竹田市久住町大字久住(チェックインの場所は別。予約後に別途連絡あり)
定員:1~2名
check in / out:チェックイン14:00〜17:00/チェックアウト14:00
料金:1棟1泊132000円(屋外テント泊も少人数に限り可能・要相談) ※薪ストーブ・野外風呂・バーベキュー利用の際には、薪代(1日あたり5500円)が別途追加
LUTEN(流転)|竹田市神原
祖母山(そぼさん)の源流である神原(こうばる)渓谷の一角に建つのが〈LUTEN〉です。デイユースとしてのみ利用可能なこちらのコンセプトは、「神の川の源流に癒やされる『漂泊の家』」。
ここは、祖母傾(そぼかたむき)国定公園のほか、祖母・傾・大崩(おおくえ)ユネスコエコパークにも指定されている、まさに日本の原風景が残る場所です。
そんなこの地に建てられたのは、日本各地で解体された家屋の古材を用いた小屋。祖母山のネイチャーツアーの拠点として、また川沿いでお弁当を食べたり、夏は水遊びを楽しんだりと、大自然に触れながら心身を整える時間を過ごすことができます。
食事は、大分県内で最古の和菓子店として知られる〈但馬屋老舗(たじまやろうほ)〉の栗おこわ弁当を楽しめます(要事前予約・別料金)。
address:大分県竹田市神原(住所の詳細は予約後に連絡)
定員:1~2名
料金:1棟1日33000円
利用について:デイユース仕様。但し、登山などの休憩所として利用の際には24時間可能
HASO(波礎)|佐伯市・大入島(おおにゅうじま)
佐伯港からフェリーでわずか7分ほどの場所に浮かぶ離島・大入島(おおにゅうじま)。団塚氏の生まれ故郷です。
周囲17キロメートル、面積5.66キロ平方メートルの小さな島に建てられた〈HASO〉のコンセプトは、「喧騒から逃れ、島の静けさに流れ着く『碇泊(ていはく)の家』」。
海に浮かんだ筏(いかだ)をイメージしたことから、景色を見るために透明な建築になっているとか。実際に筏としての機能を持つデッキでは、BBQや屋外バスを楽しむことができます。
自転車で島を一周したり、釣りに行ったりと、子ども時代に戻ったような遊び心を感じることができるはずです。オプションとして、不時泊シェルパによるSUPやビーチでのテントサウナ、島の漁師によるに漁船クルージングも楽しめます(要事前予約・別料金)。
address:大分県佐伯市塩内浦(チェックインの場所は別。予約後に別途連絡あり)
access:佐伯港から第八大入島フェリーで約7分
定員:1~2名
check in / out:チェックイン14:00〜17:00/チェックアウト14:00
料金:1棟1泊132000円 ※バーベキュー利用の際には、炭代(1日あたり3300円)が別途追加
*価格はすべて税込です。
credit text:柿崎真英 photo:©Sato Shinichi