鍋を置いた鍋敷き
連載|食卓で使いたい、大分の手仕事

国東だけで育つ「七島藺」の鍋敷き。
七島藺工芸作家・岩切千佳さん | Page 2

Posted 2021.04.26
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身近なものの背景に広がる、尊い仕事を知ってほしい。

3つ重ねた鍋敷き

「ミカンやタマネギを入れて吊るすと、めっちゃかわいいんですよ」と岩切さんが見せてくれたのは、ワインボトルや日本酒の瓶を入れて持ち運ぶ七島藺のボトルバッグ。大小並べて吊るせば、さらにかわいい! 人気の鍋敷きはサイズが3種類。

「鍋やヤカンを置いたときに編んだ部分が見えるよう、少し大きめを選ぶのがおすすめです」

ミカンとタマネギを入れたワインボトルバッグ
七島藺で編まれたワインボトルバッグ。果物や野菜を入れてキッチンに吊るすのもすてき。ワインボトルバッグ 大6050円、小3080円。
鍋敷きを使用中
鍋敷きは、鍋を置いたときに周囲が見えるぐらいの大きさを選ぶのがおすすめ。
3サイズの七島藺鍋敷き
厚みがあってしっかりと鍋を支える鍋敷き。大(直径24cm)4400円、中(直径19cm)3850円、小(直径16cm)3080円。

「工芸品をつくるときは、2軒の農家さんの七島藺を使い分けています。円座はこの農家さんの七島藺、香りを出したいときは別の農家さんのもの……というように。田んぼが違うと香りや強さも違うんです」

そう言いながら円座をつくり始めた岩切さん。半分に割いた七島藺の端を固定金具に留めたら、全体を水で湿らせて、もう一方の端を引っ張りながら力いっぱい編んでいきます。ひと編みごとにギュギュッ、ギュギューッと茎が擦れる音。そんなに力を込めたらちぎれてしまうのでは……と心配になるほどです。

「手ではなく全身の重心を後ろに倒して、体全体で引っ張ります。大丈夫ですよ、七島藺は細くても強い。とても強いので」

編み込み作業
半分に割いた七島藺を水に濡らしながら、力を込めて編んでいく。
制作中の円座
制作途中の円座。「つくりたてを使ってもらいたい」という考えから、受注販売をメインにしている。
完成した円座
円座はシングルと2枚重ねのダブルがある。写真はシングル(直径約40cm)16500円。

そんな岩切さんの出身は宮崎。昔からものづくりが大好きで、大学は美術を学べる別府の大学を選びました。15年前、縁あって国東に移住したものの、職場で手に大ケガをしてしまいます。そのリハビリとして始めたのが七島藺の工芸品づくり。

「最初はただただリハビリのためでしたが、続けるうちに“この仕事一本で生きていこう”と決心しました。一番のきっかけは、七島藺の生産農家さんの仕事を間近で見続けたこと。七島藺というすばらしい文化をもっと知ってほしい。それには農家さんの姿を、目に見えるかたちで世の中に伝えないとダメだなと思ったんです」

ランチョンマットに置かれた徳利とお猪口
畳表を利用したランチョンマット。「大分の伝統工芸、小鹿田焼の茶碗と合うんですよ。“飛び鉋”と呼ばれる小鹿田焼独特の模様が、七島藺の織り目に似てるからかな」ランチョンマット(約30×40cm)3850円。
七島藺でつくったモビール
馬や円座など、七島藺でつくったパーツをつなげたモビール。2750円~。

誰でも手に取りやすい身近なアイテムをつくったり、七島藺の植え付けや収穫などの作業そのものをイベントにしたり……と、一歩ずつ地道な活動を続けた岩切さん。次第に興味を持つ人が増えたと話します。たとえばJR九州のクルーズトレイン〈ななつ星in九州〉では、2018年から、毎週車内で七島藺の小物づくりのプログラムが行われているのです。

「色で、香りで、触り心地で、人の気持ちを落ち着かせてくれるのが七島藺。鍋敷きもランチョンマットも、使えば使うほど魅力を実感できると思うんです。そして、できれば、ものの背景にある農家さんの仕事にも思いを馳せてもらえたら。いつもそう願っています」

玄関マット
四角いパターンを数枚編み、それをつないでラグにする。昔からつくられているデザインで、古い旅館などに残っているものもある。1ピース(22×22cm)4950円。たとえば玄関マットは6ピース(44×66cm)29700円。サイズを決めてオーダー。
キューブ状にパッケージされた国東産のお米
岩切さんがパッケージのデザインに関わった国東産のお米(販売は松尾弘之商店 tel:0978-72-0141。2021年分は終了)。国東半島の古刹「文殊仙寺」で護摩焚きしたものに、御朱印と「祈」の文字が記されている。その上に結んであるのは七島藺の紐。

両子寺
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