姫島車えびの豆豉蒸し
連載|大分の“おいしい”を探して

料理家・冷水希三子がつくる、
姫島車えびのセビーチェと豆鼓蒸し

Posted 2021.06.29
Instagram X Facebook

生で食べられる車えびを
ペルー生まれのマリネ、セビーチェに。

大分県の北東部、国東(くにさき)半島の伊美港からフェリーで20分ほどの距離に浮かぶのが、周囲約17キロメートルの一島一村の小さな島、姫島。火山活動によりできた離島で、日本ジオパークにも認定されています。

大分県姫島の全景写真
車で1時間もあれば1周できる小さな姫島。姫島村も出資する第3セクター方式で設立された〈姫島車えび養殖〉が島内の車えびの養殖を一手に担っています。

近海の豊かな漁場で水揚げされる魚介類と並び、大分県を代表する特産品として全国区で知られているのが〈姫島車えび〉。島内の塩田跡地を利用した養殖の車えびです。

大規模な養殖池は島内に3か所。毎年1月から4月にかけて清掃を行い、こだわりの餌を与えるなど、徹底した生育環境の下で車えびの養殖が行われています。

生の姫島車えび

旬を迎えるのは秋で、10月から12月にかけては活き車えびが出荷されます。それ以外の時期でも、活き車えびと同様にフレッシュなおいしさを味わえるのが〈生食用凍眠凍結車えび〉。活き締めにした車えびを真空パックにして、マイナス30度のアルコール溶液につけて急速冷凍したもので、お取り寄せも可能です。

料理をする際にパックごと氷水につけるか流水で解凍後、焼いたり炒めたりして調理するのはもちろん、何よりも、刺身でおいしくいただけるのが醍醐味です。

お取り寄せした〈生食用凍眠凍結車えび〉
冷凍で届く〈生食用凍眠凍結車えび〉。写真は、200グラム(4〜5尾入り)1500円(税込・送料別)。車えびのサイズは大小あります。

今回、〈姫島車えび〉を使って、料理家・冷水希三子さんが提案するメニューは、生のままマリネするセビーチェと、香り豊かに蒸し上げる豆鼓(とうち)蒸しの2品。

ライムを搾る
ライムを搾る冷水さん。

「〈生食用凍眠凍結車えび〉は、解凍したあと特有の臭みがなく、生の車えびと変わらないくらいしっかりと身が締まっています。届いたらそのまま冷凍しておけば、とれたての鮮度をキープした状態のままいつでも調理できるのがいいですね」

材料の中には、一般のスーパーなどでは少しだけ入手しづらいものもありますが、それを使うことで本格的な味わいになるので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

調理道具が並ぶ冷水さんのアトリエ

1品目は、旬のトウモロコシや野菜を使ったサラダ感覚の「車えびのセビーチェ」から。

「解凍したにもかかわらず生と同レベルのクオリティならば、車えびの持ち味をしっかりと味わえるメニューをと思いついたのがセビーチェ。新鮮な魚介ありきの料理です」と冷水さん。

「車えびは解凍したら、殻がついたままの状態で金串か竹串を使って背ワタを引き出すと、身をつぶすことなくすんなりと取ることができますよ」

背ワタを取る
殻がついたままの車えびの節の間に串を刺して背ワタを取ります。

殻をむいたら半分の長さに切り、塩、ライム汁、水、酒を加え、車えびと一緒にマリネする野菜を準備します。

ライムにフォークをさして搾る
半分にカットしたライムの中央にフォークをさし、ライムを持つ手をひねりながら実をつぶすとよく搾ることができます。
車えびの下準備
車えびは、横半分など食べやすい大きさに切りましょう。

「ハラペーニョの酢漬けは、すっきりとした酸味と爽やかな辛みが味のアクセントに。ない場合は、青唐辛子やタバスコを少量加えることで代用できます。茹でたトウモロコシは、ひと粒ずつほぐすよりも包丁でそぐようにはずすと、ざくざくとした食感とみずみずしさを楽しめますよ」

トウモロコシの粒をカット
トウモロコシを縦に置いて身と芯の間に包丁を入れ、一度に3~4列を削ぐとひと粒ずつばらばらになりません。

また「ミニトマトは手で実を割るのがポイント」とも。包丁ではなく手でつぶしながら中身を出すことでジューシーさが増すのだとか。

ミニトマトを割く
ミニトマトは手で中身を絞り出すように割きます。

「すべての材料を混ぜ合わせたら、1時間くらい冷蔵庫で冷やして味を落ち着かせます。身からはずした殻はこのメニューでは使いませんが、捨てずに素焼きしたり、油で揚げるとパリッと香ばしいおつまみに。頭の部分にはえび味噌もあるので、味噌汁に入れるといいだしが出ますよ」

トウモロコシの黄色、ミニトマトの赤、パクチー(香菜)の緑など、鮮やかなビタミンカラーに彩られたセビーチェは、ライムの爽やかな香りと酸味が夏らしい一品。車えびの甘さが一層ひきたちます。2分の1尾サイズのボリュームは口にした時の満足感も。

完成した姫島車えびのセビーチェ
冷蔵庫で1時間ほど冷やすと、ひんやり&シャキシャキ食感がアップします。

料理中の冷水さん
Next Page|おもてなしにもピッタリの
ごちそうメニュー

この記事をPost&Share
X Facebook