大分のブランド乾しいたけ
〈うまみだけ〉を使った
豚スペアリブのピリ辛煮込みとオイル煮
旨みたっぷりの戻し汁まで使った煮込み料理。
大分県は、乾(ほし)しいたけの生産量が全国1位。量だけでなく、乾しいたけの品質を競う全国乾椎茸品評会でも、22大会連続の団体優勝を果たすほどの一大産地です。その大分の地で新たに生まれたブランドが〈うまみだけ〉です。
これまで乾しいたけは、形状(かさの開き方)に応じて、「冬菇(どんこ)」「香信(こうしん)」「香菇(こうこ)」の大きく3種類に分類。いろいろな品種が混ざり合っていたことから、同じパッケージに入ったものでも、戻す時間や風味に違いがあったと言います。
そこで、大分県が着目したのが品種でした。成分や味わいに特徴のある品種をフィーチャーして商品化。旨み、香り、歯ごたえの違いにより、現在では7品がラインナップしています。
厚みがありしっかりとした味わいの「115(いちいちご)」、やわらかな食感でマイルドな旨みが持ち味の「とよくに」、やさしい香りが特徴的な「ゆう次郎」、抜群の歯ごたえを楽しめる「にく丸」など。
すべて原木にシイタケ菌を植え付けて、1~2年がかりで時間と手間をかけて生育。乾燥させることで旨みをギュッと凝縮しています。メニューによって使い分けたり、好みのタイプを知ると、料理のレパートリーがグンと広がること間違いありません。
今回、料理家・冷水希三子さんが料理に用いるのは、「115」と「とよくに」の2種類。あっという間に仕上がるオイル煮と、ピリッと辛味が効いた煮込みの2品をご紹介します。和食のイメージが強い乾しいたけを主役にした、洋風メニューは興味津々!
「乾しいたけは下ごしらえが大変と思う人もいるかもしれませんが、実は簡単。水と一緒にビニール袋に入れて口を縛り、冷蔵庫にひと晩入れておくだけなので面倒なことは一切ありませんよ」
1品目は、「とよくに」を使った「うまみだけのオイル煮」です。
「『とよくに』は、やわらかい食感ですっと噛み切れるのが特徴。すぐにつくれて食べやすい前菜に向いていると思い、このメニューが浮かびました」
冷蔵庫でひと晩置いた「とよくに」は、軸を切り落としてかさの部分を使います。
「大きければ半分にカットします。戻し汁はザルで漉してホコリやゴミを取り除き、ニンニクは半分に切って芯を取り、ドライトマトは熱湯に漬けて戻します」
鍋に、「とよくに」と戻し汁、ニンニク、ドライトマトを入れ、タイムとオレガノも加えて、ひたひたになるまでエキストラヴァージン(EXV)オリーブオイルを注ぎます。
「中火にかけて沸騰したら弱火にして15分、アクを取りながら煮れば完成です。器に盛りつけたあと、鍋に残った煮汁はパスタを炒めるときに使ったり、炊飯の際に加えて炊き込みご飯にしてもおいしいですよ」
オリーブオイルだけではなく、「とよくに」の戻し汁もたっぷりと使って煮るため、あっさりと軽やかな印象。軽くトーストしたバゲットを添えるのもおすすめです。