「鰻白焼きと日田梨山椒和えの重ね盛り」
連載|大分の“おいしい”を探して

〈坐来大分〉で
日田梨の極上のひと皿を味わう!
シェフが教えるスイーツレシピも

Posted 2025.09.17
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レストラン型のアンテナショップの先駆けとして、19年の歴史を重ねる大分県フラッグショップ〈坐来大分〉。店内は、大分県の食材や調味料、工芸品を販売するギャラリー、オープンキッチンに面したカウンターと個性豊かな5つの個室、メインダイニングで構成されています。

〈坐来大分〉のテーブル席
5室の個室も、すべてしつらえが異なり、大分県の作家の作品などを展示しています。

大分県産の孟宗竹(もうそうちく)を用いたファサードにはじまり、インテリアにも日田杉や臼杵の灰石など、インテリアにも大分が誇る建材がふんだんに使われていて、東京にいながらにして大分を体感できる空間です。

厨房を仕切るのは臼杵の老舗〈臼杵ふぐ 山田屋〉西麻布店などで腕を磨いた櫻井政義料理長。食材の産地や生産者のストーリーも大切に、郷土の味にクリエイティビティをかけ合わせた料理に定評があります。

今回はその櫻井料理長に、大分県が誇る食材を使ったメニューを紹介してもらい、さらに家庭でもできるレシピを教えてもらいました。

〈坐来大分〉の櫻井政義料理長
2023年から〈坐来大分〉を率いる櫻井政義料理長。

大分県産の食材で、いま、まさに旬を迎えているのが日田梨。国内だけでなく海外にもファンが多く、幸水、豊水、あきづき、新高、新興、晩三吉、豊里などの品種が順に出荷され、8~12月まで長い間楽しめるのが特徴です。どの品種も、糖度、熟度、果形など計5項目の厳しい基準をクリアしたものだけが、日田梨として出荷されます。

梨が木に生っている
写真提供:大分県

収穫は8月以降ですが、おいしい梨づくりは、最後の収穫を終えた年明けすぐの剪定作業から始まります。木が均等に実をつけ、枝が果実の生育を妨げたり、果実を傷つけたりすることなく、必要な日照を得られるよう枝を切る作業で、生産者の経験、見極め、技術がものをいう大切な仕事。一年を通じたたゆまぬ努力が、味わいに結実するのです。

大分県産の梨・幸水
写真は早生の幸水。坐来大分では日田梨を中心に、みずみずしい大分県産の梨を使用しています。

シャキシャキ食感が美味!
ピリッと爽やかなひと皿

「日田梨は、みずみずしさと香りのよさが格別です」と、話す櫻井料理長。坐来大分では「鰻白焼きと日田梨山椒和えの重ね盛り」を提供しています。日田梨を鰻に合わせるとは、少し意外な感じがしますが、しゃきしゃきとした日田梨の食感とジューシーな甘みが、鰻の旨みを引き立てるひと皿です。

ふたつの食材の味をつなぐのが自家製の山椒オイル。鍋にサラダ油と刻んだ山椒の実を入れて火にかけ、弱火で焦がさないようにじっくりと火を入れ香りを引き出します。山椒も、日田市の大山で採れるとびきりのものです。

山椒の実を刻む
手鍋でサラダ油と山椒の実を火にかけている

梨はまず桂むきにしてから極細の針状に。和食の料理人ならではの包丁仕事が光ります。切った梨を、先につくっておいた山椒オイルで和えます。

梨を桂むきしている
梨を針状の細切りに
ボウルで山椒オイルと梨を和える
厨房で調理を進める櫻井料理長
「細切りにした日田梨の繊細な食感も味の決め手です」と、櫻井料理長。

鰻は日田市の川魚問屋〈魚福〉のものを使用。「魚福さんから年間を通して高品質のものが手に入り、若い方にもご年配の方にも人気なので、坐来でもよく使用します」と、櫻井料理長。炭火でじっくり火を入れ、ふっくらかつ香ばしく焼き上げます。

炭火で鰻を白焼きにしている

鰻が焼き上がったら、山椒オイルで和えた日田梨とミルフィーユ状に重ねながら器に盛りつけます。

「仕上げに〈佐藤農園〉の〈天領日田ビッグわさび〉と大山の木の芽を添えて完成です」

小鹿田焼の器に盛り付けられた「鰻白焼きと日田梨山椒和えの重ね盛り」
「鰻白焼きと日田梨山椒和えの重ね盛り」。小鹿田焼(おんたやき)の器で。

日田梨だけでなく、鰻、山椒と木の芽、わさび、そして器にいたるまで、オール日田産というのが、このひと皿のストーリー。

「豊かな食材に恵まれた日田だからこそ、こんな仕立てができる。水郷・日田の風景を思い描きながらお楽しみください」


郷土料理「へこ焼き」の生地を焼いている
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