話題の〈BRTひこぼしライン〉で巡る!
日田市で一度は立ち寄りたい、
6つのスポット
2023年8月に開業した、日田彦山線BRT(バス高速輸送システム)、愛称〈BRTひこぼしライン〉。福岡県添田駅から大分県日田駅間の約40キロメートルの区間を結んでいます。同区間には36のBRT駅が設けられており、学校、病院、商業施設など、地域に密着した移動手段として、大きく利便性が向上しています。
開業の背景にあったのは、2017年に起きた「平成29年7月九州北部豪雨」。この豪雨により、福岡県北九州市と大分県日田市を結ぶ日田彦山線は、橋の損傷やトンネルや駅構内への土砂流入などといった大きな被害を受けました。
未曽有の災害からの復旧はJR九州単独では難しいことから、沿線地域とともに復旧方法の検討を行い、一部区間を専用道として整備するBRTでの復旧が決定。こうして誕生したのが、BRTひこぼしラインです。今回は、BRTひこぼしラインに乗って、日田市の魅力巡りの旅へ。
日田駅に到着
徒歩約15分
Spot01 〈廣瀬資料館〉で廣瀬家の展示を鑑賞
まずは伝統的建造物群保存地区となった日田市豆田町(まめだまち)へ。江戸時代に天領として栄えた日田市は、歴史と文化のまち。〈廣瀬資料館〉では、そんな江戸末期から明治にかけて活躍した儒学者「廣瀬淡窓」とその弟で商人の久兵衛を中心とした廣瀬家の史料や、貴重な遺品が展示されています。
廣瀬家の生家を利用し、建物自体が国指定史跡に。江戸時代後期に建てられた主屋は、当時の豪商の暮らしぶりを伝える貴重な存在です。
館内には、廣瀬家に伝わる古文書や帳簿類、美術工芸品など、多数の資料が展示されています。これらの資料を通して、江戸時代から明治にかけての日田の経済や文化、さらには廣瀬家の活動について学ぶことができます。また、季節ごとに特別展が開催されており、日田の歴史や文化に触れる機会も豊富です。
徒歩約5分
Spot02 〈薫長酒蔵資料館〉で酒造りを学ぶ
九州の拠点としても栄えた面影が残る豆田町は、日田市を代表する見どころ満載のエリア。せっかくなのでもう少し寄り道をして、〈薫長酒蔵資料館〉へ。
ここでは江戸時代後期から続く老舗酒蔵〈クンチョウ酒造〉の歴史や日本酒造りの工程を学べます。この資料館は、1826年(文政9年)に建てられた歴史ある酒造の2階を資料館として開放。館内では、酒造りに使用される道具や機械など、さまざまな資料が展示されています。
BRT昭和学園前駅で乗車し約30分、今山駅で下車
徒歩約10分
Spot03 〈ももは工房〉でみそづくり体験
豆田町を後にして、向かったのは〈ももは工房〉。大肥川沿いで、農薬を極力減らした栽培を行っている「大肥郷ふるさと農業振興会」が育てる米・麦・大豆を使用し、味噌やきな粉、あられや餅などの加工品を製造販売しています。
おすすめ商品は、麹から手づくりしている「大肥の庄みそ」。代表の森山豊子さんいわく、おいしさの秘訣は、裸麦(はだかむぎ)と蒸し煮にした大豆だそう。
「一般的に、味噌は大麦を使うことが多いのですが、うちは裸麦。栽培が難しく、収穫量も少ないのですが、上質で旨みがしっかり出るんです。それから大豆にもこだわっていて、水煮ではなく蒸し煮にしたものを使います。蒸すとほくっとして甘く、本当においしいんですよ」
1998年(平成10年)に地域の女性5人で立ち上げて以来、試行錯誤を重ねながら、商品開発にも取り組んできたという〈ももは工房〉。
工房では、味噌や豆腐づくりの体験も可能。希望者は工房内で食事もできるので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
BRT今山駅で乗車し約3分、方司口駅で下車
徒歩約1分
Spot04 〈清渓文庫〉で展示を見学
自然の恵み豊かな水郷日田の地で、1804年に創業し、200年以上にわたって、その長い歴史を紡いできた蔵元〈井上酒造〉。酒本来の味を楽しめる「最後まで飲み飽きない酒」を目指して、環境や素材にこだわり抜いたおいしさを届けています。
井上家は、大正から昭和にわたって日本銀行総裁および大蔵大臣を歴任し、日本経済発展に貢献した井上準之助の生家でもあり、遺品資料展示館〈清渓文庫〉を併設。準之助の号である「清渓」からその名づけられました。
BRT方司口駅で乗車し約4分、名本駅で下車
徒歩約2分
Spot05 〈やさい工房 沙羅〉の地元農作物を購入
2008年に誕生した地域の農産物直売所〈やさい工房 沙羅〉。地元の農家さんが毎朝新鮮で安全・安心な農作物を運んでくれるので、季節によって商品はさまざま。いつ来ても旬の味を楽しむことができます。
また、野菜以外にも、地元のおばあちゃんが作った加工品、お弁当・パンや手作り雑貨などを販売。数ある商品の中から、おすすめ商品をご紹介します。
BRT名本駅で乗車し約40分、日田駅で下車
徒歩約15分
Spot06 〈すてーき茶寮 和くら〉で鉄板焼に舌鼓
BRTひこぼしラインで巡る旅。最後は日田駅に戻り、〈すてーき茶寮 和くら〉でゆっくりとディナーを楽しむのがおすすめ。旅の締めくくりにふさわしい、おいしい料理と素敵な空間を味わうことができます。
雰囲気が異なる、2つの空間が広がっている店内。2つの部屋に分かれており、この茶寮でメニューを決めたあと、もうひとつの鉄板席がある部屋に移動して食事をします。食後はまた茶寮に戻り、デザートやお茶を楽しむという贅沢な時間を過ごすことができます。
自慢の料理は、店名にもなっているステーキ。なかでも世界的に人気が高く、希少な尾崎牛を使用したステーキがイチオシだそう。
宮崎県の澄んだ空気と水と、ビール酵母を発酵させた肥料で育った尾崎牛は肉の味が濃く、旨みも強いのが特長です。世界の高級レストランで提供されており、国内で食べられるところは限られています。大分県内でも扱っているのは1、2軒のみ。
食欲をそそる音や香ばしい香り、目の前で生み出される料理を五感で楽しめるのも鉄板焼の醍醐味。目の前に広がる三隈川を眺めながら、1日の旅を振り返ってみるのも。
昔ながらの歴史や文化に触れたり、地域の食を堪能できる、魅力あふれるスポット満載の日田エリア。ぜひ訪れたら、〈BRTひこぼしライン〉に乗って、大分の魅力を探しに巡ってみませんか。
*価格はすべて税込です。
credit text:大西マリコ photo:黒川ひろみ