建築も醍醐味。宇賀なつみの
大分市アート&カルチャー探訪 | Page 2
特別な一冊と出合うブックカフェ
〈Bareishoten〉でコーヒーブレイク
アートを堪能したら大分市美術館から車で6分ほどの場所にあるブックカフェ〈Bareishoten(バレイショテン)〉で、ひと休み。
『所有とは何か』(中央公論新社)などの観念的なテーマの本や自主制作のZINEまで、店内にはさまざまなジャンルの新刊が所狭しと並んでいますが、どこか偏っているセレクト。
店主の後藤邦孝さん曰く、明確な選書の基準やジャンルのセグメントはないのだそう。
「本棚はお客さんがつくってくれるものだと思っています。最初は私が読みたい本を選んでいたのですが、次第に常連さんの顔が浮かぶようになってきて。そのうち、私とお客さんの好みが混じり合ったラインナップになりました。ひとことで言うなら“Bareishotenっぽいもの”です」(後藤さん)
店内ではコーヒーやソフトドリンクのほかにも、手づくりサンドイッチやケーキ、アルコール、おつまみを用意。
「店主の方の琴線に触れた本が並んでいるので、店主の頭の中をちょっと覗けた気がしておもしろかったです。ほっとひと息つけるような、生活や暮らしに寄り添った本が多い印象でした」(宇賀さん)
世界的建築家・坂 茂設計の“開かれた”美術館
〈大分県立美術館 OPAM〉
大分市にはもうひとつ、押さえておきたい美術館があります。
世界的建築家の坂 茂(ばん しげる)氏が手がけた〈大分県立美術館〉、通称・OPAM(オーパム)です。
坂氏は、世界各地の地震などによる災害で、建物の倒壊により人命が失われることに責任を感じ、紙筒を使った紙の仮設住宅やシェルターを展開。
その功績が讃えられ、2014年、建築界のノーベル賞とも呼ばれる「プリツカー賞」を受賞しました。
OPAMにも、そんな紙筒を用いたスポットがあるんです。
さっそく行ってみましょう!
普段美術館に足を運ぶ機会がない人でも気軽に立ち寄ってもらえるよう、「まちに開かれた縁側としての美術館」を目指したというOPAM。
1階は全面ガラス張りで外から中の様子が見えるように設計されており、無料で触れられるアート作品が充実しているので、フォトスポットが目白押しです。
なかでも坂氏の特徴がよく表れているのは、3階のホワイエ。
大分県産の杉材を用いてつくられた斜め格子に組まれた天井は、大分の伝統工芸である竹工芸の「六つ目編み」をイメージさせるデザイン。床は大分県産の「日田石」が採用されています。
「建築のデザイン性もさることながら、空間演出がすてき。自然光の入り方も美しいですよね」と宇賀さんも思わずうっとり。
そして、お待ちかねの紙筒でできたスポットはというと……
2階にある地産地消をコンセプトにしたミュージアムカフェ〈café Charité(カフェ シャリテ)〉。
ラップフィルムの芯のような強度のある紙筒で囲まれた店内。多数の紙筒の穴により外の風景が丸く切り取られ、不思議な世界が広がっています。