建築も醍醐味。宇賀なつみの
大分市アート&カルチャー探訪
旅好き、温泉好き、アート好きのフリーアナウンサー・宇賀なつみさんが、〈OPAM〉〈大分市美術館〉を中心に、大分市の芸術・文化に触れる旅へ行ってきました。
大分市ゆかりの作品と自然散策が楽しめる〈大分市美術館〉
2023年2月、旅の記憶とともにこれまでを振り返るエッセイ『じゆうがたび』(幻冬舎)を上梓(じょうし)した、フリーアナウンサーの宇賀なつみさん。
旅慣れている宇賀さんは、仕事やプライベートで30回以上も大分に訪れているそう。
今回はそんな宇賀さんでも、意外にも初めて訪れたという〈大分市美術館〉にやってきました。
「随分と高いところにあるのですね。緑に囲まれているから、大分駅からは山があるようにしか見えなかったのですが、こんなに気持ちのいい空間が広がっていたなんて」と驚く宇賀さん。
世田谷美術館を手がけた建築家・内井昭蔵氏によって設計された大分市美術館は、緑豊かな自然と調和した環境に溶け込むデザインが特徴です。
さっそく入館すると、陽光が燦々と降り注ぐ大きな窓に、開放感あふれる高い天井、曲線美が特徴的な内観など、意匠を凝らした建築に、作品を見る前から胸が高鳴ります。
常設展示エリアには、大分市ゆかりの作家による作品が空間を贅沢に使って展示されています。
宇賀さんが見ているのは『風の道』。別府から由布院へ抜ける塚原高原の、秋の風景を表現しているそう。
「2階まで続く壁面の作品と、ススキを彷彿とさせる1階の作品でひとつの作品なんですね。無機質なステンレスでも、やわらかな秋風が通り抜けるような表現ができるなんてすごい」と宇賀さん。
「あ、この作品、雑誌か何かで見たことがあります! まさか生で見られるなんて」と、大分で感動の対面を果たしたのは『小豚;Pig Lib』。
なんとこの作品、豚の剥製の胴体を用いており、断面がハムになっています。
大分市出身の作家・吉村益信氏は、既成の秩序や常識に対する否定、攻撃、破壊を特徴とした作品を数多く発表した現代美術家なのだそう。
「小さいのにとても存在感がありますね」とまじまじと見つめる宇賀さんでした。
作者が5歳のときに飼っていた犬が逃げてしまったことで、その心残りからずっと犬の作品をつくり続けているのだそう。
「でもなんで唐辛子を刺しちゃったんでしょうね」と宇賀さん。なんだか目が離せない作品です。
館内だけではなく、屋上デッキや野外スペースには彫刻など9点の作品が展示されています。
どこをとっても同じ印象を受ける場所がない〈大分市美術館〉。宇賀さんに感想を聞いてみました。
「由布岳や鶴見岳を一望できるような見晴らしがいい箇所もあれば、まるで森の中にいるような自然に包まれている箇所もあって、作品を見なくても十分満たされる場所ですね。
私はもともと、自然に囲まれていて穏やかな時間が流れている世田谷美術館が好きで、一時期よく通っていたのですが、ここも同じ建築家の方が設計されたんですね。どおりで落ち着くわけです。
館内はまっすぐな道がひとつもないので、大きな箱の中にいるというよりは、曲がったり上り下りしたりで冒険しているような感じがして楽しかったです」(宇賀さん)