![冬季限定の〈百寿ひとひら(生姜×チョコレート)〉](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/27155035/news-columns-unesco-usuki-paged4-1080x540.jpg)
臼杵市がユネスコの食文化創造都市に認定!
その豊かな食文化を辿ります | Page 4
有機農業③|
〈後藤製菓〉が「臼杵煎餅」をモダンにアレンジ
有機野菜の活用を積極的に行っているお店はほかにもあります。国宝臼杵石仏の近くに店と工場を構える〈後藤製菓〉です。
![〈後藤製菓〉の外観](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/27124157/news-columns-unesco-usuki-photo17.jpg)
〈後藤製菓〉の名物は、小麦粉を原料とする薄めの煎餅生地に、ショウガと砂糖でつくった蜜を表面に塗った「臼杵煎餅」。
大分県内に7社ほどある臼杵煎餅の製造元のなかでも、1919(大正8)年創業のこちらは現存する最古の店といわれています。
![臼杵煎餅12枚袋入り](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/29162605/news-columns-unesco-usuki-photo18.jpg)
![臼杵煎餅の定番3種類](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/27124201/news-columns-unesco-usuki-photo19.jpg)
長い伝統を受け継いできた臼杵煎餅の原材料に有機ショウガを取り入れ始めたのが5代目の後藤亮馬さんです。
臼杵市では江戸時代からショウガの栽培が始まり、一大産地にもなった歴史を持ちますが、大正時代以降は農家の数が減ったことで生産量も減少。〈後藤製菓〉でも、臼杵産以外の九州産を使っていたといいます。
そんななか、後藤さんはこの店を地産地消の煎餅づくりをしていた本来の姿に戻したいという想いから、徐々に臼杵産ショウガへとシフトチェンジを図っていきました。
![5代目の後藤亮馬さん](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/27124203/news-columns-unesco-usuki-photo20.jpg)
「2020年は臼杵産の利用が100%に達しました。そのうちの7割ほどが有機ショウガです。地元産を使うという域内循環と、有機農業を促進するという意味から、できるだけ有機ショウガにこだわった仕入れをしています」
その有機ショウガを主役にした新たな菓子ブランドが〈IKUSU ATIO(イクス・アティオ)〉。〈後藤製菓〉の創業100年を機に、若い世代にも臼杵煎餅を気軽に食べてもらいたいという想いから誕生しました。
![〈百寿ひとひら(生姜×チョコレート)〉](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/27124206/news-columns-unesco-usuki-photo21.jpg)
“大分臼杵”を逆さにしたブランド名がユニークなシリーズでは、伝統的な臼杵煎餅の型にとらわれない商品が揃います。従来よりもサイズを小さくし、食べやすくしたひと口サイズの〈百寿ひとひら〉や、煎餅を砕いてクーベルチュールチョコレートと合わせた〈チョコクランチ〉など、商品パッケージにもこだわっています。
![チョコレートのコーティング工程](https://libs.edit.pref.oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/27124208/news-columns-unesco-usuki-photo22.jpg)
また、ショウガの搾りかすを無駄にすることなく活用しようと、「ジンジャーパウダー」の開発にも取り組みました。こちらは、〈IKUSU ATIO〉の商品の原材料にも使用されています。フードロスの削減にもいち早く目を向け取り組んだことで、2020年には搾りかすの廃棄量ゼロを実現させたそうです。
古くから食に対して高い意識を持っていた臼杵の人々。その教えを脈々と受け継いだ人たちが、優れた食文化を後世へ残そうとまち全体で取り組みが行われています。
ユネスコ食文化創造都市への認定により、ますます注目を集める臼杵市。その魅力を体感しに出かけませんか?
※価格はすべて税込みです
credit text:柿崎真英 photo:永禮 賢