美肌を目指す温泉巡り。
明礬・鉄輪で体験できる「機能温泉浴」とは?
「機能温泉浴」という言葉をご存知ですか? 異なる泉質の温泉を組み合わせて入浴することで、それぞれが持つ効能の相乗効果が期待できる入浴方法です。
それを体験するのにうってつけの場所が、温泉の源泉数・湧出量ともに全国1位の大分県別府市にあります。「別府八湯」の総称で知られる8つの温泉郷には、10種類ある泉質のうち7種類が揃うため、さまざまな目的に合わせた機能温泉浴が楽しめるのです。
そこで、今回は美肌効果があると言われる明礬(みょうばん)温泉と鉄輪(かんなわ)温泉に注目して、日帰りで利用できる温泉施設の情報も交えながら、詳しく紹介していきます!
「シャン泉(せん)・リン泉(せん)」で美肌効果アップ?!
初めに向かうのは、別府八湯の中で最も標高の高い場所にある明礬温泉。
この地に湧く強酸性の硫黄泉は、皮脂などを取り除くクレンジング効果や、古くなった皮ふの角質を取り除くピーリング効果があることから「シャンプー泉(シャン泉)」とも呼ばれています。そんなシャン泉にぴったりの温泉施設を2軒紹介します。
シャン泉|みょうばん湯の里
ここは全国的に知られる天然由来の入浴剤〈薬用 湯の花〉の製造・販売所としても有名な場所。敷地内には入浴剤の製造工程を無料で見学できる「湯の花小屋」のほか、温泉施設もあります。
そのひとつが、別府一の高台にある大露天岩風呂。皮脂の汚れを取る洗浄効果の高い乳白色の湯に浸かりながら、明礬大橋や鶴見岳、高崎山などの絶景が眺められます。
もうひとつは、湯の花小屋を模したわら葺き屋根の貸切湯(全4棟)。全国的にも珍しい、風情たっぷりの空間で良泉を楽しめます。
シャン泉|湯屋えびす
明礬温泉で1874(明治7)年から続く温泉旅館〈御宿ゑびす屋〉が運営する日帰り温泉。3階建ての施設には大浴場や露天風呂、岩盤浴などがあり、実に10種類以上のお風呂が揃います(奇数・偶数日で1階露天と2階内湯を男女別で交互に開放)。
1階は露天風呂がメインのエリア。広々とした硫黄泉の露天風呂のほかには、ヒノキ製の樽風呂で楽しめるジャグジーや、硫黄の蒸気で温める「箱蒸し」、岩風呂などがあります。
続く2階は大浴場と岩盤浴のエリア。大浴場では、疲労回復にぴったりのゲルマニウム石を使ったお風呂や半露天などが楽しめます。
3階には、別府湾を望めるヒーリングルームなどお風呂上がりにゆったり過ごせるスペースが充実。併設カフェで販売している、温泉の蒸気でつくったプリンや黒たまごなどを味わうこともできるとか。
明礬温泉でシャン泉に浸かったら、車で7分ほどの場所にある鉄輪温泉へ向かいましょう。明礬温泉から鉄輪温泉まで路線バスが走っているため、アクセスも便利です。
鉄輪温泉の泉質の多くは、弱酸性のナトリウム-塩化物泉。化粧水の成分としても使われるメタケイ酸を多く含み、保湿効果が期待できることから、こちらは「リンス泉(リン泉)」と呼ばれます。
シャン泉で余分な角質や汚れを取り除いた肌は、天然の保湿成分をたっぷり含んだお湯が浸透しやすい状態となって、湯上がり後の肌触りはしっとりすべすべに。そんなリン泉にぴったりの温泉施設を2軒紹介します。
リン泉|ひょうたん温泉
鉄輪温泉を代表する日帰り温泉施設の〈ひょうたん温泉〉。源泉かけ流しが自慢のお風呂は、竹でできた独自開発の冷却装置〈湯雨竹(ゆめたけ)〉によって実現。源泉を竹の表面に這わせることで、100℃近い温度から瞬時に冷ますことができるため、鮮度のよいお湯を提供することができるのです。
お風呂の種類もバラエティ豊富で、大浴場から露天風呂、瀧湯(打たせ湯)、砂湯、むし湯まで幅広く揃います。さらに、源泉の蒸気を吸ったり(温泉吸入)、飲んだり(泉飲)できるサービスも。体の外側だけでなく内側まで温泉の恵みを堪能できます。
施設内には、温泉の蒸気を利用して食材を蒸し上げる「地獄蒸し」を体験できる専門店もあり、1日中楽しめる場所となっています。
リン泉|熱の湯温泉
湯けむり立ち上るレトロな温泉街で、地元の人から観光客まで懐深く迎える〈熱(ねつ)の湯〉。ここは、別府市内に18か所(休業中含む)ある市営温泉のなかでも数少ない入浴料が無料の共同浴場(公衆浴場)として知られています。
浴場にはシャワーの設置はないため、体を洗ったり、かけ湯をしたりする際は浴槽の湯を使用します。上質なナトリウム-塩化物泉のあつ湯に浸かって、ローカル気分を味わうのも、旅のいい思い出になるでしょう。
この温泉の歴史は古く、鎌倉時代からその名が伝わるほど。かつては浴場としてだけでなく、飲泉場や調理場、洗濯場としても利用されていたと言います。〈熱の湯温泉〉の建物の左側に飲泉場の跡地、右側には今なお残る洗濯場が見られるので、興味がある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
*価格はすべて税込みです
credit text:柿崎真英