日本有数の温泉地、由布院。
大分の温泉名人が教える【やまなみエリア】
の立ち寄り湯5選《後編》
日本有数の温泉地としても知られる大分県。湯めぐり旅行をしたいと思っても、数が多すぎて迷ってしまいますよね。そこで、温泉にまつわる難関試験を突破し、〈温泉マイスター〉の資格をもつ温泉名人が、ふらっと立ち寄れる日帰り温泉をエリア毎にセレクト。今回は、人気の観光地である由布院や、自然いっぱいのドライブコースがある【やまなみエリア】の後編として、由布市の名湯を5か所ご紹介します。
※掲載情報は2021年1月時点の情報です。新型コロナウイルスの影響で営業時間、休業日などが異なる場合があります。詳しくは施設の公式HPなどでご確認ください。
関連記事|個性派の泉質をめぐる! 大分の温泉名人が教える【やまなみエリア】の立ち寄り湯9選《前編》
3つの温泉が集まる温泉郷、由布市
今回ご紹介する由布市には、絶景が望める大浴場や泉質の違いなどで湯めぐりが楽しめる「由布院温泉」をはじめ、鎌倉時代から続くと言われる歴史ある湯治場「湯平(ゆのひら)温泉」や、効能の高い湯を求めて多くの人が遠方から訪れる「塚原温泉」があります。それぞれで違った景観と泉質が楽しめ、一度では知り尽くせない奥深さがあります。
とろみのある神秘の湯「ゆふいん束ノ間」
由布岳を望む露天風呂に満ちる美しいブルーの湯。見上げれば、空と一体になったかのような美しさです。とろみとすべすべの肌触りをもたらす湯は神秘さえ感じます。光の具合などで青や白が強くなるなど色の変化もユニーク。カラフル湯の楽しさを存分に味わえます。
日本屈指の薬湯「塚原温泉 火口乃泉」
レモンやカボスのような強い酸度がある塚原温泉。鉄やアルミニウムの成分も多く含まれるレアな泉質をもつスーパー温泉です。透明感のある黄緑の湯は酸味や苦味のほか、甘味も。一皮剥けるような浴感がありながら、まろやかさも感じられます。火口見学もできるので、ファミリーやカップルにもおすすめですよ。
シュワシュワがたまらない「旅館 黒嶽荘」
炭酸を含んだ冷鉱泉が豊富に湧き、飲泉用を口に含むと強いシュワシュワ感があります。浴槽ではたった9℃前後しかなく、つかった瞬間ギュッと体が引き締まります。隣の加温浴槽に移れば、震えが心地よさに変わり爽快さも。刺激的で、一度は体験してほしい温泉です。
約140年前からある共同浴場「加勢の湯」
脱衣場と湯船が一体になった昔ながらのザ・共同浴場です。約140年の歴史があり、木造の湯小屋が懐かしさを醸し出しています。毎日入りたくなるほど、クリアでさっぱりとした湯上がり。地域住民が管理する地域のための温泉ですから、入口のお薬師様に手をあわせて、ありがたくいただきましょう。
大人の隠れ家感が心をくすぐる「ゆの杜 竹泉」
まろやかな自家源泉を惜しげもなく豪快にかけ流す。湯けむりと金色の竹林が相まっておとぎ話のような幻想的な露天風呂は、どこか懐かしい雰囲気が漂います。大人の隠れ家的な秘湯感にあふれていて、家族湯は全制覇したくなるほど、それぞれに趣向を凝らしています。
温泉名人のこだわり! 温泉道
Profile 高橋 秀明・潤子名人
温泉マイスター、別府八湯温泉道名人、九州温泉道泉人。このほか、温泉ソムリエ、温泉観光士、温泉観光実践士、温泉指南役など。日本温泉地域学会会員。広島市在住。温泉好きがきっかけで結婚。別府の多彩な湯にはまる。
温泉地に着いた瞬間、「温泉レーダー」が働きはじめます。あそこは湯けむり、ここに共同浴場……。湯につかれば、色や香り、温度のほか、肌触りは、味はー。地図に頼らず五感を働かせてフラリ。温泉猫へのご挨拶も忘れません。湯と出合ううれしさや、数字では表せない個性を夫婦で楽しんでいます。
由布市には、レアな泉質を持つ温泉や約140年の歴史をもつ共同浴場など、日本有数の温泉地ならではのスポットが盛りだくさん。火口見学や飲泉にチャレンジすると、入浴以外の温泉の面白さを知ることができます。ぜひ、奥深い温泉の世界をのぞいてみてくださいね。
●
※この記事は、斉藤雅樹(東海大学海洋学部教授)さん監修の『おおいた おんせんガイドブック』を再編集したものです。