国東だけで育つ「七島藺」の鍋敷き。
七島藺工芸作家・岩切千佳さん | Page 3
足を延ばして新緑の名勝へ。七島藺にも出会えます
「国東半島に来たら、ぜひ訪ねてほしい場所があるんです。もう、絶対のおすすめ! これからの季節は新緑が本当にきれいで、心が洗われます」
ニコニコしながらそう話す岩切さんと一緒に「両子寺(ふたごじ)」へ。たくさんの石仏や寺社が点在することから“仏の里”とも呼ばれる国東半島の、中央部に位置しています。岩切さんがさっそく案内してくれたのは、辺りに広がる「両子寺の森」。全国森林浴の森百選にも指定されている日本有数のパワースポットです。
清々しい新緑のなかを歩いた先に突然現れるのは、国東半島最大級の仁王像! 高さ2メートル45センチの力強い石像は、江戸時代後期、文化11(1814)年の作と伝えられています。彫りの深いお顔と、うっとりするほど見事な筋肉美。大迫力ではあるものの、キラキラした緑の光に包まれているためか、やさしさや温かさも感じられるのです。
境内には、鎌倉期作と伝わる不動明王をご本尊とした護摩堂があり、その傍らには平和な世の中を願って「平和の鐘」と名づけられた梵鐘も。「今年の春、こちらの境内で七島藺の飾りをつくり、奉納させていただいたんです」と岩切さん。
さらに、同じ国東市内にあり、国指定名勝・日本三文殊のひとつに数えられる「文殊仙寺」でも、表参道の入り口には岩切さんが手がけた注連縄が掛けられています。
「身近な日用品にも祈りのかたちにも、七島藺の美しさや強さはきっと宿っている。ひとりでも多くの方に、使って、見て、触れてほしいです」
宮崎県生まれ。七島藺工芸作家/くにさき七島藺 認定工芸士。「くにさき七島藺振興会」職員を経て、2014年に七島藺工芸作家として独立。創作活動を続けている。ワークショップや講演も多数。作品の購入、オーダーはメールもしくはFacebookにて。
*価格はすべて税込です。
credit text:輪湖雅江 photo:白木世志一