干潟と夕陽が織りなすパノラマ
「真玉海岸の夕景」
いくつもの条件が重ならないと現れない幻想的な風景とは?
見渡す限り広がる砂浜と、取り残されたように漂う水の流れ。つい数時間前まで、海水で満たされていた海の底とは思えない光景が広がります。ここは、大分県豊後高田市にある真玉(またま)海岸。県内でほぼ唯一、水平線に沈む夕陽を見ることができるスポットと言われています。
理由は簡単。九州の東側に位置する大分県では、多くの海岸が東向き。しかし、真玉海岸はやや突き出た地形に位置するうえ、西に開けているのです。
この辺りの海岸線には真玉川などの河川によって運ばれた山間部の土砂が堆積し、広い干潟を形成。干潮時刻になると、海岸線沿いに約1.5キロ、沖に約500メートルにわたる干潟が現れます。
かつては国東(くにさき)半島西部の多くの場所で干潟が見られましたが、周辺の開発とともにその数は減少。海苔や釣り餌のよい漁場だった真玉海岸は、開発を受けることなく現在の姿が残されたといいます。
干潟に浮かび上がる波型の模様「砂漣(されん)」も、また独特の景観をつくり出します。波によってつくられる大きな砂漣「波跡」と、風がもたらす小さな「風紋」。この大小の砂漣が現れるのも、干満の差が大きい真玉海岸ならではだそう。
なかでも夕陽の美しさは格別で、“日本の夕陽百選”にも選ばれるほど。さらに、いくつかの条件が揃うと、よりすばらしい絶景を目にすることができるといいます。
それは大潮の日の干潮と、日の入りの時刻が重なった晴天の日。空が赤く染まる頃、干潟が夕陽を反射して、砂漣の縞模様が浮かび上がって見える、幻想的な光景が現れます。
そんな期待に胸を躍らせ、海岸に辿り着いた取材チーム。一面すっかり潮が引いた干潟に目を奪われます。ところどころ海水が残っている部分が鏡のように空の色を映し出し、幻想的なこと、このうえありません。
しかし、天はわれわれに味方してはくれませんでした。2日間にわたりベストショットを狙ったものの、真っ赤な夕陽は現れず……。うっすらピンクに色づいた雲を夕焼けに見立ててカメラに収めたのでした。
ちなみに、諸条件が整ったときにだけ撮ることができる写真がコチラ。
豊後高田市観光協会の公式サイトで、見頃カレンダーや撮影ポイントを紹介しているので、事前にチェックしてから出かけたいものです。