集めたくなる〈臼杵焼〉、
見つめたくなる〈臼杵石仏〉。
宇賀なつみが臼杵の手仕事にふれる旅へ | Page 3
磨崖仏の数日本一・大分県の
謎多き国宝〈臼杵石仏〉
石仏観光センターのすぐ裏手には、小さな集落や穏やかな田園風景が広がる〈深田の里〉があります。ここでは国宝に指定された〈臼杵石仏〉群を見ることができます。
1周800メートルの道中に、4つの見どころが点在しています。所要時間約30分なので、腹ごなしにもうってつけ。
しばらく歩くと、ひとつ目のエリア「ホキ石仏第二群」に到着。
屋根の下から隠しきれない圧倒的な存在感を放った石仏がお目見えです。
臼杵石仏とは、阿蘇溶結凝灰岩でできた岩肌に彫られた「磨崖仏(まがいぶつ)群」のこと。現在、61体あるすべての石仏が国宝に指定されています。
平安時代後期から鎌倉時代にかけてつくられたといわれていますが、誰が何の目的で造営したのか定かではなく、未だ謎に包まれているのだとか。
「なんだか神秘的ですね」と宇賀さん。
「ホキ石仏第一群」エリアを超えてさらに奥へ進み、急勾配な階段を登ると、〈山王山石仏〉がお出迎え。階段の下から見上げると、陰りもあってか気圧されそうなくらい荘厳なオーラに包まれている石仏に、思わず息を呑みます。
さらに登っていくと、最後の見どころである「古園石仏」エリアへ。
中尊の「大日如来像」は、仏教の一種である「密教」において、宇宙の根源となる最高位の仏とされています。
全宇宙を表す大日如来像、なんだかパワーをもらえそうです。
ここではおみくじや願掛けのお線香などがあるので、ぜひ大日如来像のエネルギーにあやかりましょう。
願掛けのお線香は「家内安全」「商売繁盛」「良縁結願」など7種類の願い別に用意されていますが、宇賀さんが迷わず選んだのは「身体健全」。
「何をするにしても身体が資本ですからね」としみじみする宇賀さんです。
「臼杵石仏を目の当たりにすると、当時の技術力の高さを感じます。いったいどれくらいの費用がかかって、どれくらいの人が関わったんだろう。迫力もあって、歴史もあって、実際に見ることができてよかったです」と感服したご様子。
また、このエリアは一番見晴らしの良い場所にあるので、景観も良好。大日如来像を背にすると、深田の里を一望できます。
この里を吹き抜ける穏やかな風を感じて、何かに思いを馳せる宇賀さんなのでした。
至極の一杯で、ゆったりとした時間を過ごす
〈suzunari coffee〉
臼杵石仏から車で約5分ほどの場所に位置する、
スペシャルティコーヒー専門店〈suzunari coffee〉。
旅の締めくくりをするべく、ここでひと息つくことに。
ここでは店主・匹田貴明さんが惚れ込んだ個性を感じるシングルオリジンや、同店でしか味わえないオリジナルブレンドをメインに、季節によってさまざまなバリエーションのハンドドリップのコーヒーをいただけます。
エルサルバドルの首都・サンサルバドルから約95キロメートル離れた山中にあるペドレラ農園で生産された、世界的に評価の高いスペシャルティコーヒーを浅煎りでいただきます。
「果実感をしっかり感じつつ、ブラウンシュガーのような優しい甘みを感じます。さわやかな酸味ですっきり飲めますね」と宇賀さん。
臼杵ののどかな風景を見渡せる大きな窓に、臼杵石で作ったテーブル。重厚感があるシックな店内に、やわらかな光が差し込んできて、穏やかな時間が流れます。
地元の学生たちが自転車で通り過ぎていく様子を窓から眺めている宇賀さん。
「コーヒーって、つい仕事のお供としてせわしなく飲みがちだけど、こうやってぼんやりしながら、ゆっくりコーヒーを飲む時間って大切だなってあらためて思いました」と日々多忙な宇賀さんもほっとひと息つけたようです。
最後に今回の旅のハイライトをうかがいました。
「一番印象に残っているのは臼杵焼の豆皿体験ですかね。全国津々浦々旅して、いろんなところで陶芸体験をしてきましたが、こんなに洗練された場所はなかなかないなと思いました。できあがった豆皿には、おにぎり1個置いてもいいし、チョコレートひとかけらでもいいし、どんな食事シーンにも寄り添ってくれそうです。届くのが待ち遠しいです」
credit text:藤田佳奈美 photo:ただ hair & make:永田紫織(Nous) styling:近藤和貴子
衣装クレジット ジャケット41800円、オールインワン30800円(ともにランバン オン ブルー/レリアン)︎、イヤリング15400円(ヴァンドームブティック/ヴァンドームブティック 伊勢丹新宿店)︎、リング29700円(エテ)︎
以上、価格はすべて税込み