臼杵市がユネスコの食文化創造都市に認定!
その豊かな食文化を辿ります | Page 3
有機農業①|
〈関青果〉で〈ほんまもん農産物〉に出合う
臼杵の食文化を支える3つめの柱が有機農業です。臼杵市は、自治体が率先して有機農業に取り組んでいるまちでもあります。
その一環として、化学的に合成された肥料や農薬を使わずに栽培した農産物を〈ほんまもん農産物〉として独自に認証する制度を設けています。
こちらの〈関青果〉は、臼杵市のさまざまな生産者が育てた〈ほんまもん農産物〉を販売する青果店。大根やサツマイモ、ビーツといった新鮮な旬の野菜や果物が店頭を彩ります。
有機農業②|
地元食材を使った本膳料理を供する〈喜楽庵〉
この〈ほんまもん農産物〉と、臼杵市で水揚げされる〈臼杵ん地魚〉を使った本膳料理を提供するのが、1878(明治11)年創業の〈喜楽庵〉。臼杵藩の料理番のもとで修業した2代目が本膳料理の伝承を許され、提供を始めたとされる歴史ある料亭です。
日本料理の原型ともいわれる本膳料理。さまざまな流派があるなかでも、藩主が冠婚葬祭の際に食べていた武家本膳を提供しているお店は、全国で〈喜楽庵〉しかありません。ここではその武家本膳の流れを汲む会席料理を、より手軽に体験できるお昼御膳をいただきます。
お昼御膳は、ひとつのお重に刺身や天ぷら、豚の角煮、きらすまめしなどが並んでいます。その脇には、臼杵の地魚を使ったお椀と臼杵の郷土料理であるごま豆腐。
地元の新鮮な旬の野菜と魚介をたっぷり使ったお料理は、どれも洗練された味わい。〈ほんまもん農産物〉や〈臼杵ん地魚〉を取り入れる理由を、女将の山本千代さんはこのように話します。
「市を挙げた有機栽培の取り組みに、感化されたんです。創業以来、地元の野菜と魚介を使い続けてきましたので、より安心して食べられるよいものをという想いで、〈ほんまもん農産物〉を使うことにしました」
臼杵の食文化を彩る名産のひとつに、ふぐがあります。一般的に、ふぐはひと晩以上寝かせて身をやわらかくしてから刺身にしますが、臼杵では水揚げしたその日に新鮮な状態のままさばくのが特徴。新鮮なふぐは身が固く、薄引きすることができないため、臼杵のふぐ刺しは厚引きで提供されるようになったといいます。
その新鮮さは、身の締まり具合からしっかりと伝わってきます。ほかでは食べることのできない独特の食感に惚れ込むファンも多いとか。また、臼杵では冬だけでなく夏にもふぐを提供する店が多く、年中食べられる魚としても愛されています。