日本の地中海・保戸島で、
迷路のような路地を散策&マグロに舌鼓。
斜面に連なるコンクリート造の家屋。
沖から見える家々が織り成す風景は、まさに地中海の街並みさながら。
大分県津久見市の四浦(ようら)半島の沖合に位置する「保戸島」は周囲4キロメートル、人口約800人の小さな島。
平地が少なく山の斜面に家屋が密集しているため、路地も細く、まるで迷路に迷い込んだかのような独特の景観が広がります。
その風景は、「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選定されたほど。
また、かつては全国有数のマグロ遠洋漁業基地としても有名で、マグロを使った漁師メシも楽しみのひとつ。
今回は、そんな保戸島の魅力と、島での遊び方をご紹介します。
保戸島の遊び方①
地図を片手に路地裏散策! 日本一狭い県道も
保戸島を訪れたからには、やっぱり路地裏散策を楽しみたいところ。
集落中を縫うように巡る路地と階段は、まさに巨大迷路。
島の生活道に続く階段は、どれが私用(私道)でどれが公用(公道)なのか見分けがつきにくく、探るように歩けば、まるで気分は探検家です。
特に、日本一狭いと言われている県道612号は外せないおすすめポイント。
民家と民家の間を通っており、全長256メートル、幅1.2メートルの両手を伸ばしたら届きそうな道幅ですが、これでも立派な県道なんです。
島の人たちの息遣いが聞こえるような路地裏をゆったり歩けば、思わず童心に帰ってしまうことでしょう。
保戸島の遊び方②
オーシャンビュースポットで記念写真を
急勾配な細い路地を抜けると、視界が開けた場所にいくつかたどりつきます。
密集する屋根越しに見下ろすと、眼下には港の風景が。わずか100メートルほどの海峡を隔てて連なる四浦半島の山並みも見渡すことができます。
一方、港とはまるで別世界が広がる山を越え、島の反対側へ続く桜並木の道を歩くと、島の中央、遠見山頂の風景と並ぶ絶景の撮影スポットが。
同じく島の反対側には、風力発電の風車や堤防に集う釣り人、港とは対照的な静かな浜辺の風景などが広がっています。
見る場所によって印象が様変わりする保戸島で、お気に入りのスポットをぜひ見つけてみてください。
保戸島の遊び方③
「ひゅうが丼」にかぶと焼き。マグログルメを堪能しよう
明治中期から始まった、マグロがいないマグロの島・保戸島の遠洋マグロ漁。
北海道から三陸沖や、紀州沖から土佐清水沖、さらには赤道付近まで出航し、延縄(はえなわ)漁業という手法でマグロを漁獲。マグロ漁の基地として一時代を築きました。
一時に比べれば漁業従事者が減少したものの、今もなおマグロ漁は活況であるが、島の人たちは豊後水道での一本釣り漁業や海運業などを生業としているそう。
そんな保戸島では、マグロを使った独自の食文化が発展。
ぜひ食べておきたいのが、赤身に甘めのごまだれを絡ませた「ひゅうが丼」です。保戸島名物である「ひゅうが丼」は大分グルメグランプリで2年連続金賞を受賞しました。
漁の疲れを癒やすかのように甘めに味つけされているのが特徴で、薬味のショウガとネギがいいアクセントに。あつあつのご飯と一緒に食べれば、もう箸が止まりません!
また、インパクトも栄養も満点のかぶと焼きも忘れてはならない逸品。
かぶとの中には脳天やほほ肉、目などマグロのおいしい部位がぎゅっと詰まっています。
ほかにもマグロの頭の骨の出汁がきいた味噌汁「かぶと汁」や、心臓、血合いのステーキ、あごの唐揚げ、胃袋の和え物、これらを楽しめるコース料理など、マグロの珍味を使った保戸島の味を楽しめます。
楽しい路地裏散策に、おいしいマグロ料理。大人を魅了する異国情緒豊かな保戸島へ、ぜひお越しください。
※現在新型コロナウイルスの影響で、マグロ料理提供店が一時休業中です。再開のお知らせは津久見市観光協会のサイトでご確認ください。
credit text:藤田佳奈美