2億4000万年前の
流れ星のカケラが眠る網代島で、
太古の地球を感じる旅へ
大分県津久見市日代地区の50メートルほど沖合、干潮時には砂の道で陸地につながる、周囲約400メートルの小さな無人島・網代島(あじろじま)。
地球史上最大規模の生物の大量絶滅が発生した2億5200万年前。
網代島ではその直後の恐竜が誕生したと言われる時代・三畳紀(さんじょうき)の地層を見ることができます。
今回は大分の離島の中でも、とりわけ地球のロマンを感じる網代島の魅力と遊び方をご紹介します。
網代島の遊び方① 宇宙を感じる貴重な岩石「チャート」の地層を観察しよう
網代島は「チャート」と呼ばれる、堆積岩からできた島。
チャートとは、シリカ(二酸化ケイ素)の殻を持つプランクトンの死骸が深海底で降り積もってできたもの。
主成分はほぼガラスと同じで非常に硬く、石包丁や火打ち石として使われていたこともあるほど。
このチャートは数ミリ積もるのに約1000年もの時間がかかると言われています。
長い年月をかけて厚みを増したチャートは、プレートに乗ってゆっくり移動を続け、現在の場所までたどり着きました。
それが今の網代島を形成しており、これまでにかかった時間は、なんと2億年以上。
遥か昔から歴史を積み重ねてきた網代島。
そのチャートが地表で見られるのはとても貴重なことなんです。
網代島の遊び方② 宇宙から降り注ぐ流れ星のカケラ「宇宙塵」を感じよう
チャートには約2億4000万年前に地球に降ってきた流れ星のカケラ「宇宙塵」が眠っています。
直径1ミリ以下の宇宙塵は網代島で約300個も発見されており、そのどれもがかけている部分がないきれいなもの。
保存状態がいい宇宙塵のなかでは、世界最古のものだと言われています。
そもそも宇宙塵は、地表に到達する前にほとんど燃え尽きてしまいます。
それが2億4000万年前、燃え尽きることなく海底にたどり着き、その地層が今の網代島で見られます。
網代島の宇宙塵は私たちの遠い祖先が見てきた流れ星かもしれないと考えると、宇宙の神秘を感じさせてくれるでしょう。
網代島の遊び方③ 限られた時間だけ出現する砂の道
網代島には、干潮時に現れる砂の道があります。
砂の道を渡っていくと、周囲の岩石の色の変化が見て取れます。
黒色の岩石は、地球史上最大の生物大量絶滅のすぐ後にできたもの。
当時は海中の酸素が減少し、海洋生物の90%が絶滅。
その死骸により、海の中はヘドロのような環境になり、このような黒色の岩石ができました。
一方、赤色のチャートが意味するのは、海中の酸素が復活した証。
海中で酸素と鉄分が反応して赤くなった酸化鉄で、これはつまり環境が回復していく様子を記録しています。
ほかにも緑色のチャートや、緑から赤へ変化する過程のチャートなど、地球の歴史が刻まれている様子を見ることができます。
地球のエネルギーと宇宙のロマンを感じる網代島。
悠久の時を感じる旅に出かけてみませんか。
credit text:藤田佳奈美