大分最南端の離島・深島で、
自然と島の暮らしを感じる旅
大分県佐伯市にある蒲江から定期船「えばあぐりいん」に乗り、屋形島を経由して南下すること約30分。およそ70匹の猫と12人の島民が暮らす深島は、スーパーやコンビニ、自動販売機もない離島。全周が4キロほどの小さな島に流れる豊かな時間と、島の楽しみ方を紹介します。
深島の遊び方①
猫を愛でながら散策
全域が国定公園に指定された自然豊かな深島は、近年「猫の島」としても注目を集めています。
ペットとして本土から渡ってきた猫たちは、多いときには200匹以上がいたそうです。
現在、島で暮らす猫は70匹ほど。島の南北に延びる猫スポット「にゃんにゃんロード」をはじめ、港で船を降りてすぐから船に乗る直前まで、島のそこかしこに猫の姿が見つかります。
おっとりとフレンドリーな猫たちが多いですが、猫たちの健康を維持するため、餌やりは禁止されています。人との距離はそれぞれなので、無理に触ったり追いかけたりせず、触らせてくれる子のふかふかの毛並みを堪能し、鳴き声に耳を傾け、かわいい表情や姿を愛でて、島の猫時間を共有しましょう。
深島の猫たちについては、猫たちを守る活動をしている安部あづみさんのこちらの記事も。
深島の遊び方②
深島みそづくりを体験
島の特産品は「幻の白い味噌」とも呼ばれる「深島みそ」です。島の長い歴史のなかで生まれ、各家庭に伝えられた“手前味噌”が1996年に製品化されたもの。深島婦人部によるかまどを使った昔ながらのレシピを受け継ぎ、いまも味噌づくりを続けているのが、島で唯一のカフェと宿泊施設を営む安部達也さん&あづみさん夫妻です。
島の中心部にある深島みそ生産施設では、かまどで麦を蒸して麦麹をつくり、炊いた大豆と米と合わせてみそをつくります。熟成期間は1~3か月。温暖な島の風土によって白くやさしい風味の深島みそが完成します。
みそづくり体験では、みそという和食伝統の調味料が、どのようにつくられているかを実地で楽しく学ぶことができます。
体験で仕込んだみそは持ち帰って常温で天然発酵させましょう。自宅に帰ったあとも、旅の思い出を長く楽しむことができますよ。
深島の遊び方③
浜辺でのんびり島時間
深島は、四国との間を分ける豊後水道を渡る渡り鳥や、1000キロ以上もの距離を移動する渡り蝶のアサギマダラが立ち寄り、日本で一番大きなハトである天然記念物のカラスバトや、島の名を冠したフカシマコベソマイマイなどが住む、自然豊かな離島です。
陸上には独特の植生が繁り、海に潜れば美しいサンゴが見られます。鮮やかな色にきらめく熱帯魚や大型の回遊魚、イルカなどのほか、ウミガメが顔を出すこともあるそう。
シュノーケリングやシーカヤック、釣りを楽しめるのはもちろんのこと、港から海を覗いたり、靴を脱いで海に足を浸したり、浜辺に座って透明な水面が陽の光を反射するさまを眺めたり、目を閉じて波の音に身を委ねたり。
“なにもしない”ことが何より贅沢に感じられるのは、豊かな自然があってこそ。深島だからこそ叶う、のんびり流れる島時間を堪能しましょう。
credit text:鳥澤光 photo:木寺紀雄