深島の海を眺める猫たち
連載|おおいた島遊びガイド

大分最南端の離島・深島で、
自然と島の暮らしを感じる旅

Posted 2023.11.10
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大分県佐伯市にある蒲江から定期船「えばあぐりいん」に乗り、屋形島を経由して南下すること約30分。およそ70匹の猫と12人の島民が暮らす深島は、スーパーやコンビニ、自動販売機もない離島。全周が4キロほどの小さな島に流れる豊かな時間と、島の楽しみ方を紹介します。

深島の遊び方①
猫を愛でながら散策

全域が国定公園に指定された自然豊かな深島は、近年「猫の島」としても注目を集めています。

島の地図が描かれた案内看板「ふかしまっぷ」
来島者を迎える島のマップ。ひょうたん型の島のくびれの部分に民家が広がっています。

ペットとして本土から渡ってきた猫たちは、多いときには200匹以上がいたそうです。

現在、島で暮らす猫は70匹ほど。島の南北に延びる猫スポット「にゃんにゃんロード」をはじめ、港で船を降りてすぐから船に乗る直前まで、島のそこかしこに猫の姿が見つかります。

3匹の茶トラの猫がじゃれあっている
深島には茶トラの猫が多いようです。
箱椅子の中で昼寝中の猫
どこの猫もやっぱり箱が好き。写真を撮られても動じず眠り続けていました。
広場で遊ぶ猫
味噌工房の前に広がる芝生は、猫にとっても子どもにとっても格好の遊び場。

おっとりとフレンドリーな猫たちが多いですが、猫たちの健康を維持するため、餌やりは禁止されています。人との距離はそれぞれなので、無理に触ったり追いかけたりせず、触らせてくれる子のふかふかの毛並みを堪能し、鳴き声に耳を傾け、かわいい表情や姿を愛でて、島の猫時間を共有しましょう。

しっぽを人間の足の甲にすりつける猫
人懐っこい猫たちは、来島者に体をすりつけたり、尻尾を預けたり。
昼寝中の猫

深島の猫たちについては、猫たちを守る活動をしている安部あづみさんのこちらの記事も。

深島の遊び方②
深島みそづくりを体験

島の特産品は「幻の白い味噌」とも呼ばれる「深島みそ」です。島の長い歴史のなかで生まれ、各家庭に伝えられた“手前味噌”が1996年に製品化されたもの。深島婦人部によるかまどを使った昔ながらのレシピを受け継ぎ、いまも味噌づくりを続けているのが、島で唯一のカフェと宿泊施設を営む安部達也さん&あづみさん夫妻です。

安部達也さん&あづみさん夫妻
〈inn&café でぃーぷまりん〉を営む安部達也さん&あづみさん夫妻。深島みそづくり体験はでぃーぷまりんに要申し込み。

島の中心部にある深島みそ生産施設では、かまどで麦を蒸して麦麹をつくり、炊いた大豆と米と合わせてみそをつくります。熟成期間は1~3か月。温暖な島の風土によって白くやさしい風味の深島みそが完成します。

炊いた大豆を親指でつぶす
お手軽コースは約30分(2200円)。まずは炊いた大豆をつぶします。
麦麹と米を入れた状態
そこに麦麹と米を入れて、しっかりこねます。
大豆と麦麹と米をこねている
味噌のいい香り!
ボール状にした味噌
ゴルフボールくらいの大きさに丸めていきます。
袋に入れた味噌を平たく伸ばす
真空保存できる袋に均等に詰めて常温で保存します。

みそづくり体験では、みそという和食伝統の調味料が、どのようにつくられているかを実地で楽しく学ぶことができます。

体験で仕込んだみそは持ち帰って常温で天然発酵させましょう。自宅に帰ったあとも、旅の思い出を長く楽しむことができますよ。

深島の遊び方③
浜辺でのんびり島時間

深島は、四国との間を分ける豊後水道を渡る渡り鳥や、1000キロ以上もの距離を移動する渡り蝶のアサギマダラが立ち寄り、日本で一番大きなハトである天然記念物のカラスバトや、島の名を冠したフカシマコベソマイマイなどが住む、自然豊かな離島です。

深島の海岸

陸上には独特の植生が繁り、海に潜れば美しいサンゴが見られます。鮮やかな色にきらめく熱帯魚や大型の回遊魚、イルカなどのほか、ウミガメが顔を出すこともあるそう。

天日干しされたライフジャケットやシュノーケリングセット
でぃーぷまりんではシュノーケリングのツアーも行っています。

シュノーケリングやシーカヤック、釣りを楽しめるのはもちろんのこと、港から海を覗いたり、靴を脱いで海に足を浸したり、浜辺に座って透明な水面が陽の光を反射するさまを眺めたり、目を閉じて波の音に身を委ねたり。

底がくっきりと見えるほど透明度の高い深島の海
船乗り場にほど近い西のビーチ。透き通るほどきれい。
深島大明神の鳥居
室町時代中期の創建とされる深島大明神も船乗り場のすぐそばに。

“なにもしない”ことが何より贅沢に感じられるのは、豊かな自然があってこそ。深島だからこそ叶う、のんびり流れる島時間を堪能しましょう。

Information
深島
address:大分県佐伯市蒲江蒲江浦
access:蒲江から佐伯市営定期船「えばあぐりいん」で約30分
運行便料金:大人片道710円、2日間有効の往復券は1350円
運行便本数:1日往復4便(1便はスクール便)
web:でぃーぷまりん

credit text:鳥澤光 photo:木寺紀雄

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