
炒めるより焼く!
日田市のご当地グルメ
「日田やきそば」8選
日田市のソウルフード「日田やきそば」。一見、普通のやきそばとなんら変わらないビジュアル。それを口に含むと、「パリッ・モチッ」としたクセになる食感! 鉄板で焼き目をつけることで生まれる日田やきそばならではの口当たりで、昭和30年代に誕生して以降、いまや全国でも知られるご当地グルメとなりました。そのなかでもおすすめの8店をご紹介します。
2025年6月6日情報更新
日田やきそばの発祥店
昭和30年代、〈想夫恋〉の初代店主・角安親(すみやすちか)が「焼いた麺料理はないものか」と考え、試行錯誤の末に完成させたと言われている「日田やきそば」。同店で「想夫恋焼き」と称するこの焼きそばは、油を多めに引いた鉄板で、こんがりと焼き目が入るまで麺を“焼く”のが特徴です。
具には豚肉、モヤシ、ネギをたっぷり入れ、秘伝のタレとよく絡ませます。香ばしい焼き目と独特のパリパリ食感が食欲をそそると一躍人気メニューとなりました。
知名度を上げている日田やきそば
その後、この焼きそばは多方面に広がりを見せ、同様の特徴を持つ焼きそばを提供するお店が日田市内に多く見られるように。また、〈想夫恋〉は国内に45店舗展開、2024年には東京へ進出するなど、「日田やきそば」は全国でも年々知名度が高まってきています。
「日田やきそば」は各店舗にファンがおり、他店では味わえないおいしさを生み出しているのです。
普通のソース焼きそばとの違いって?
一般的なソース焼きそばは、麺とソースが絡んでしっとりとしていますが、日田やきそばはこんがりと焼き目が入るまで麺を焼いているので、パリッとした食感が楽しめるのが特徴です。
あっさりソースがポイント!
旨み感じるひと皿〈みくま飯店〉

三隈川近くの商店街に位置する〈みくま飯店〉。こちらの日田やきそばは、モヤシやニラなどの素材を引き立たせるあっさりめのソースを使用しているのが特徴。2代目店主の吉田明彦さんいわく「日田やきそばは、待つ時間が一番大事」と、 “炒める”より“焼く”ことを大切にしながら調理しています。

メニューには、ランチタイムでいただける「やきそばランチセット」(600円、サラダ付きは700円)や「ラーメン・ぎょうざセット」(800円)といったリーズナブルなセットも。「やきそばランチセット」は、日田やきそばとご飯やスープ、サラダなどを一緒に楽しむことができるので、チェックしてみてください。
50年経っても変わらない、
自家製麺を引き立てる味〈三久〉

地元住民をはじめとする常連客はもちろん、県外のファンも多い〈三久(さんきゅう)〉は、2025年で創業55年。県道212号から一歩路地へ入ったところにある、街角のラーメン店です。
半世紀にわたって愛され続ける所以は、なんといっても2代目店主・田中修さんが父である先代から受け継いだ自家製麺。その麺を使用したやきそばは、日田ならではのカリッ、モチッとした食感はもちろん、食べやすい太さと、程よいコシが特徴。自家調合のソースは甘めに仕上げており、麺の魅力を存分に楽しめるやさしい味わいです。

王道に「やきそば」(900円)を注文するのも良いですが、生卵のまろやかさがやきそばにマッチした「生玉子入りやきそば」もオススメです。
受け継がれる伝統と技術。
確固たる老舗の味〈想夫恋〉

「日田やきそば」という名称が生まれる50年以上前のこと。日田でやきそばと言えば〈想夫恋(そうふれん)〉の「想夫恋焼き」のことを意味しました。
特徴は何といっても香ばしさと食感。鉄板の上に角切りされた豚肉を真っ先にのせ、脂と旨みを焼き出す間に麺をゆで、湯切りしたのち鉄板でしっかりと焼き目をつけていきます。モヤシとネギを投入してもヘラで炒めず、あくまでも焼く。秘伝のソースがかかったら、ヘラで高く持ち上げ振り落とす、を繰り返します。

できあがった想夫恋焼きを口に運べばカリっとした食感と独特の香ばしさ、スパイシーなソースが麺と具材を絶妙にまとめます。従業員の育成、教育に力を入れ、創業時から徹底された想夫恋焼きを守り続け、いまや日田を代表する名物となりました。
地元で愛される、
3世代で紡いできた味〈天龍〉

創業は1968年(昭和43年)。現在は店主・薄木和子さんがほぼひとりでお店を切り盛りしています。
定番の「やきそば」もさることながら、気になるのは大分の名産・しいたけとコラボした「椎茸やきそば」。「まずは卵黄としいたけを混ぜて、そのあと麺ごと全部混ぜてください」という流儀に沿っていただくと、あっさり目のソースやきそばが、2日間甘く煮つけた乾(ほし)しいたけの旨みと卵黄のコクでバージョンアップしているではありませんか!

他店にはない新メニューとして考案した奇をてらった一品かと思いきや、これしか頼まない常連さんも。物珍しさで終わらないおいしさをぜひ体感してみてください。

歴史あるラーメン屋の
人気やきそば〈来々軒〉

今年9月に創業68年を迎える、大分最古のラーメン屋だというお店。「叉焼麺」や「中華そば」をはじめとする豊富なラーメンメニューを差し置いて、オーダー率5割超えを誇るのが「やきそば」。
かれこれ60年近く提供している昔から変わらないひと皿は、ラードではなく「大豆白絞油」を使い、しっかりパリッと焼き目をつけた麺で、油はあっさり目にソースでコクを出すのがこだわりなんだそう。生卵やチャーシューなど追加トッピングも楽しめ、紅しょうがは卓上の容器からお好みで。

「季節ごとに気温や湿度を見て麺の寝かし時間を変え、いつも同じ味が提供できるよう心がけている」と話す店主の味を求めて、今日も県内外問わず多くの客が訪れます。
黄金色の麺に特製ソースが
絡み合う〈らく亭〉

日田市街から少し離れた立地にもかかわらず、地元の人はもちろん観光客まで連日多くの人が訪れる〈らく亭〉。お目当ての「やきそば」は、モヤシのシャキシャキ感が絶妙で、黄金色に焼き上げた麺と特製ソースが絡み合うマイルドな味わいが特徴です。

そしてうれしいのが、平日の昼限定で提供されるハーフ焼きそばとハーフらーめん、おにぎりがセットになった「Aランチ」。地元の常連客からの要望で生み出されたこちらは、あっさりとしたとんこつスープに中細麺の「らーめん」と、香ばしく焼かれた「やきそば」を交互に味わうことができ、さらにおにぎりが付いた贅沢な内容になっています。
定番の味を求めて訪れる人たちの、おなかも心もしっかりと満たしてくれます。
ソースor塩、好みはどっち?
〈日田 塩焼きそば えこう〉

2018年オープンと、老舗が多い日田やきそば店のなかでは比較的新しい〈日田 塩焼きそば えこう〉。当初はスタンダードな「ソース焼そば」のみを提供していましたが、「オリジナリティのある焼きそばを提供したい」というオーナーの思いから、研究を重ねた末に「塩焼そば」を完成させたのだそうです。

パリッと焼き目の入った麺に、シャキシャキとしたモヤシ……、日田やきそばらしさをしっかり感じさせつつ、コショウを利かせ、あっさりめの味付けが新鮮です。
一緒に運ばれてくるカボス果汁(カボスが旬を迎える頃には本物のカボスを付けるそう)を適量かけると、さらにサッパリ味に変化! ソースとはまた異なる、新たな焼きそばの魅力に出合えるお店です。

地元民に愛される味に、
思わず笑みがこぼれる〈味の珍さん〉

アットホームな雰囲気で長年愛されている〈味の珍さん〉。昼時は多くの常連客でにぎわっています。
ラーメンとともに看板メニューとして親しまれている「ひた焼きそば」は、太麺を一度釜でゆでてから、鉄板の上で麺を片面ずつ焼きあげていくのが特徴。麺のパリパリ感とモヤシのシャキシャキ感が好相性です。

福岡県の〈ニビシ醤油〉のソースを基に、独自にブレンドしたソースがそれらを上手くまとめており、辛すぎず甘すぎず、焼きそばの味を引き立てています。日田やきそばの基本の味が忠実につくられる、やさしく懐かしい味わいです。
各店のこだわりを味わって
歴史、つくり方、味わいもお店それぞれ。さまざまなこだわりの先に生まれる「日田やきそば」。いろんな店舗を食べ歩いて、ぜひお気に入りを探してみてください。
*価格はすべて税込です。
credit edit:シティ情報おおいた編集部