〈ザ・キャビンカンパニー〉
廃校アトリエからおとぎ話を紡ぎ出す
絵本作家ユニット | Page 2
地元の人たちの結束と生きがいを生み出した
「チルドレンフェスティバル」
旧石城西部小学校をアトリエとして借りようと決意したザ・キャビンカンパニーのふたり。さっそく申請をしようと由布市役所へ連絡したところ、意外な答えが返ってきました。
「この学校は地元の人たちの思い入れがとても強い学校なので地元のみんなが了承してくれたら、貸してもいいよって話になったんです」(健太朗さん)
2011年頃はまだ絵本も出版しておらず、駆け出しの若手美術ユニットという肩書きだけで「ただ漠然と絵で食っていきたいと思っているだけの何者でもなかった」と、当時を振り返るふたり。
その後、地元の人たちの大切な母校をなんとか貸してもらおうと、地域の寄り合いを開いてもらい、自分たちの思いを理解してもらうために地道に交流を重ねていったそうです。
「はじめは『どんな使い方をするかもわからんし貸すのが不安だ』という声と、『学校を大いに活用してもらいたい』という声で意見が割れていました。自分たちのやりたいことや目指す方向を言葉にして伝えることで、最後には貸していただけるようになりました」(紗希さん)
こうして無事にアトリエとして廃校を借りることになったふたりは、制作活動の場として利用するのはもちろん、大切な母校を使わせてもらうならと、地元の人をはじめとする一般の人々にアトリエを開放するイベント「チルドレンフェスティバル」を開催することに。
「地元の人たちと話しあって、この学校を再び、子どもたちの居場所へと再生させようということに。ミュージシャンやダンサーなど、ふだん先生をやっていない人に授業をやってもらうワークショップイベントを立ち上げました」(健太朗さん)
「『図工』『音楽』『体育』とか、ちゃんと時間割を決めてやりました。スタッフは私たちふたりと平均年齢70代の地元のおじいちゃんとおばあちゃんで、とっても温かくユニークなイベントになりました」(紗希さん)
2012年にスタートした「チルドレンフェスティバル」は、その後も2年に1度のペースで開催。回を増すごとに来場者は増えていき、地元のおじいちゃんやおばあちゃんたちにとって、なくてはならない「生きがい」のようなイベントとなったそう。
「チルドレンフェスティバルが成功したこともあって、徐々に地元の人たちとの距離も縮まっていきました。アトリエの管理を手伝ってくれたり、田んぼづくりを教えていただいたり、みんなで学校の草刈りをしたりと、なにかと交流する機会も増えました」(健太朗さん)
現在は新型コロナウイルス感染症の影響もあり開催を中止しているそうですが、「コロナが落ち着いたらまたやりたいねと地元のみんなと話してます」(健太朗さん・紗希さん)