深島の海沿いの道路で遊ぶ子どもたち
連載|あの人に会いたい!

人口12人の離島で、
日々の暮らしを生業に。
〈でぃーぷまりん〉
安部あづみさん&安部達也さん | Page 2

Posted 2023.10.31
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深島に魅せられたあづみさんと
帰ってきた達也さんの、島への思い

幼少期の数年を深島で暮らし、蒲江に転居後も頻繁に行き来して、「幼い頃から、ただただこの島が好きだった」という達也さんが、島に戻って食堂を始めたのが2014年。2年後の結婚を機にあづみさんも移り住み、夫婦で一棟貸しの宿泊施設をスタートします。

そして2023年の夏、食堂と宿は数メートルだけ位置を変え、inn&caféでぃーぷまりんとしてリニューアルオープンしました。

安部達也さん
いつか深島に戻って生活することが夢だったという達也さん。
海が一面に広がる、客室からの眺め

「新しいことをしているという意識はなくて、深島のために必要なことはなんだろう? 私たちがいなくなったあとも深島が続いていくために必要なものはなんだろう? といつも考えているんです」(あづみさん)

取材スタッフと談笑する安部あづみさん

島のすべてが「日豊(にっぽう)海岸国定公園」に含まれ、海中公園にも指定されている深島。2023年10月現在、12人の住民のうち、最高齢は92歳。最年少の世代が、安部さん夫妻の3人の子どもたちです。

深島の海沿いの道で遊ぶ子どもたち

大分の由布市で生まれ育ったあづみさんが、いずれは自分も田舎暮らしをしたいと考えるようになったのは広島大学に通っていた頃。農業経済を学ぶうちに、「田舎に住みたい」「現場のプレイヤーになりたい」という思いが募っていきました。

大学を卒業し、一度は就職したものの、研究の道への憧れと田舎で生きていく糧を得るため、大学院への進学を決めます。深島に通いながら、大分大学の大学院で農業経済学、特に農村女性起業について研究し、修士号を取得しました。

かつての夢だった水族館のトレーナーや動物園の飼育員、そして農家に嫁いで民泊を営みたいというさまざまな夢を、かたちは違えど叶えてくれたのが深島での暮らしでした。

路地に佇む猫たち

深島への移住について、「島の神様に呼ばれたとしか思えないタイミングだった」と語るあづみさん。深島に強く惹きつけられ、島の将来を考え、いずれは島にまつわる歴史証言を書き残したいと願うほどの強い思いは、どこから生まれてくるのでしょうか。

「深島の魅力の軸の部分ってなかなか言葉にできないんです。島のばあちゃんじいちゃんの温かさや、この土地の居心地の良さはずっと感じています。島に遊びに来る人たちとその感覚を共有できたらうれしいですよね」(あづみさん)


水を飲む深島の猫
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