大分県佐伯市から、
「こうじ」の魅力を世界に発信!
塩こうじブームの立役者・
浅利妙峰さんを訪ねる。 | Page 2
こうじ菌がつくり出す酵素が健康と美容に効果を発揮!
2006年、日本醸造学会によって日本の「国菌」として認定されたこうじ菌。このこうじ菌が蒸した米などの材料に繁殖する過程で生成されるのが「酵素」です。
完成品であるこうじには、三大栄養素であるたんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」、でんぷんを糖に分解する「アミラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」をはじめ、現在知られている酵素のほとんどの種類が含まれるとも言われています。
栄養素の消化・吸収を助けたり、酵素によって生み出されたオリゴ糖をエサにする善玉菌が活性化することで腸内環境を整えたり、ビタミンやミネラルを生成することで疲労回復にも関係するなど、酵素は料理をおいしくするだけではなく、免疫力を上げ、体の調子を整える働きもあるすぐれもの。
「酵素は、人間の体内でもつくられているんですよ。それは食べ物を消化して吸収しやすくする消化酵素と、免疫力や自然治癒力を高める代謝酵素の2種類。しかし、どちらも体内で生成される量は限られるため、年齢を重ねると徐々に減っていきます。それを補うのが、発酵食品に含まれる体外酵素。料理をおいしく食べ、さらに事前消化(食品に含まれる酵素による消化。その後、体内酵素による消化が行われるため、事前消化が活発であるほど体内酵素を節約できます)して体内に取り込むことが健康を保つ秘訣ですね」
〈糀屋本店〉には、塩こうじのほかにも手軽にこうじを取り込むことができる、さまざまな商品があります。できあがった料理にさっとひとふりするだけのパウダータイプ、こうじ入りのだしや調味料など。どのアイテムにも添加物を使っていないので安心です。
佐伯市に隣接する臼杵市(うすきし)は、2021年11月、国内では2例目となるユネスコの「食文化創造都市」に認定。その大きな要因となったのが、「発酵」「質素倹約」「有機農業」の3つのキーワードでした。臼杵市では、400年以上前から味噌づくりが始まり、次第に醤油や酒を含む発酵・醸造業が発展し現在に至ります。
佐伯市のこうじ、臼杵市の味噌や醤油、どちらも江戸時代から続く長い歴史が特徴。大分県には、発酵文化が根づき発展する土壌があるのでしょう。
先人の知恵を受け継ぎ、絶えることなくこうじをつくり続けてきた〈糀屋本店〉と浅利妙峰さん。日本古来の食文化を守るだけではなく、現代のライフスタイルに合わせた新たな調味料やレシピ開発、そして海外への発信にも余念はありません。その目線の先には、発酵文化の新たなステージが待っています。
※価格はすべて税込みです。〈糀屋本店〉では2023年3月に価格改定を予定しています。
credit text:池田祐美子 photo:MEGUMI