収穫したばかりのサフランの花
連載|おおいた食手帖

“赤い金”とも呼ばれる香辛料サフラン。
日本一の生産量を誇る竹田〈八世屋〉で
収穫の時へ。

Posted 2022.12.23
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豊かな自然に囲まれ、海の幸、山の幸に恵まれた食の宝庫・大分県。代表する食材も、かぼす、乾しいたけ、関あじ・関さば、おおいた和牛など数多くあります。今までに食べたことや、見聞きしたことがある人も多いはず。

では、日本一の生産量を誇る香辛料があることをご存じですか? 県の南西部に位置する竹田市(たけたし)は、サフランの国内生産量の約8割を産出。栽培が始まったのは、今から約120年前の1903年に遡ります。

球根がついたままの開花したサフラン
開花したサフラン。球根から伸びた茎の先端に薄紫色の花が咲きます。

気温10度以下が開花の合図。
10月下旬〜11月半ばに収穫期を迎える。

イランを中心にギリシャ、スペインなど世界各地で生産されているサフランが日本に伝わったのは江戸時代。その後、1886年から神奈川県大磯町で栽培が始まり、日本全国へと広まりました。現在、最大産地である竹田市内には、約40軒のサフラン農家が存在します。

長谷川暢大さんの畑の近くの、澄んだ水が流れる川
竹田市内には湧水が多く、長谷川さんの畑のすぐ近くを流れる川底からも水が湧いています。美しく澄んだ水、その水がもたらす潤いなどがサフランの栽培に適しているそう。

サフランとはアヤメ科の植物で、球根から伸びた茎に咲く可憐な薄紫色の花の雌しべを乾燥させて香辛料として用います。ひとつの花には赤色の雌しべが3本。咲いた花からそれらを抜き取り、乾燥させたものが香辛料のサフランです。

スペインのパエリア、フランスのブイヤベース、インドのビリヤニなどの料理に用いることで知られていて、香りよく鮮やかな黄色で彩られた一品ができあがります。

透明度の高い川の対岸にある畑と家
長谷川さんの畑と家のすぐそばを流れる川。透明度の高さに驚かされます。
長谷川暢大さんご一家
長谷川さんは6人家族。家族全員でサフランづくりに取り組んでいます。

今回訪ねたのは、9年前から竹田市でサフラン栽培に取り組み、加工品も手がける〈国産サフラン商い処 八世屋(はっせや)〉の長谷川暢大(のぶひろ)さん、敦子さん夫妻。同市のサフラン農家としてはもっとも若手で、商品開発なども熱心に行っています。

訪れた10月下旬から11月半ばにかけては、年に1度の収穫時期。気温が10度以下になるとサフランが開花する合図です。

一面サフランが並ぶ小屋の中で花を摘む
太陽光が当たらない薄暗い小屋の中で、栽培したサフランの花を摘んでいきます。

毎朝、7時半頃から、その日に咲いた花をすべて摘みとり、雌しべを収穫する日がおよそ2週間にわたって続きます。長谷川さんの子どもたち3人も、学校がお休みの週末は朝から総出で作業を手伝います。

トレイにたくさんの球根が並ぶ
約10万個のサフランの球根をトレイに並べて栽培しています。
サフランの花びらをつまむ
花の収穫時期は、10月下旬から11月半ばにかけて。1個ずつ丁寧に花を収穫します。

花の収穫を行う秋がサフラン農家の繁忙期。それ以外の時期も、畑の土をつくったり球根の手入れをするなど、多くの作業があります。年間を通したサフランの栽培スケジュールを教えてもらいました。

●4月半ば〜5月:畑に植えておいた球根を堀り上げ、ビニールハウスの中で乾燥させる。
●6月〜7月:日の光が当たらない小屋の中に移して保管する。
●7月末〜8月初め:球根をトレイに並べて棚へと移動する。
●8月中旬:球根から発芽して茎が伸びる。
●10月末〜11月半ば:開花した花を摘み取り、雌しべを収穫して乾燥させる。
●12月:除草と追肥をした畑に球根を植える。

畑で栽培されているサフラン
専用の小屋で栽培するのが竹田式ですが、長谷川さんは露地栽培も試みています。
球根から緑の葉が育ってきている
生育が進まずに処分していた小さな球根を露地栽培に用いています。

サフランの収穫後の冬に加工品を手がけ、夏場は竹田市の特産品であるスイートコーンなどの野菜栽培もしています。


乾燥させて鮮やかな赤色になった竹田市産サフラン
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1000個の花が必要!? 】

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