路上販売から人気アーティストへ。
画家・北村直登さん
温泉に併設されたギャラリー兼アトリエ
竹田市長湯温泉の芹川上流にある〈万象の湯〉。レストランや宿泊施設も併設し、2019年にリニューアルしたこの場所に、画家・北村直登さんのアトリエ〈長湯温泉ギャラリエ〉があります。
北村さんは、2014年に放送されたテレビドラマ『昼顔 平日午後3時の恋人たち』に作品が使用されたことなどで注目を集め、いまでも作品が飛ぶように売れる人気の画家。長湯温泉ギャラリエには大型の作品が展示され、北村さんが時折ここで制作することも。もともと米蔵だったという、天井が高く広々とした空間で制作中の北村さんを訪ねました。
キャンバスに向かい、大胆に筆を重ねていく北村さん。通常油絵を描くのに使う絵筆やペインティングナイフだけでなく、太い毛筆やスポンジを使ったり、霧吹きで画面を濡らしたりと、形式にとらわれない自由な描き方に驚かされます。
さらに驚くのはそのスピード。全体のバランスを見ながら、どんどん描き進め、絵を仕上げていきます。その様子を自らスマートフォンで動画撮影し、SNSにアップしているそう。このときは、作品を仕上げたところで「あ、いま録画できてなかった! 失敗しました」と笑っていました。
現在は大分市で暮らす北村さん。大分市にもアトリエと自身が代表を務める会社がありますが、万象の湯の代表が北村さんの絵を購入したのをきっかけに縁ができ、この場所をアトリエとして使わせてもらうことに。併設のレストランにも北村さんの絵が展示され、ショップでは作品の販売もしています。
「ここは環境がすごくいいですね。夏は涼しいですし。冬はすごく寒いですけど(笑)」
見学は無料で、温泉に来た人がふらっと立ち寄っていくことも。観光客が地元のアーティストに触れる機会ともなり、北村さんにとっても、見る人の反応を直に感じることができる貴重な場です。
「温泉にこういう場所があるのはいいですよね。今後ここでイベントなどもできるといいなと思っています」