〈暮らす実験室iki〉2階のキッチン
連載|あの人に会いたい!

シェアハウスで暮らし方を実験!
竹田市〈暮らす実験室〉市原史帆さん、正さん | Page 2

Posted 2025.03.07
Instagram X Facebook

初めてのシェアハウスで
古民家をセルフリノベーション

ふたりが見つけたのは、まちの中心にある3階建ての古い住宅。オーナーの方は、若い人たちがまちを盛り上げることに好意的で、シェアハウスや改装についても「なんでもやっていいよ」と快諾してくれたのでした。

当初、リノベーションはプロに依頼するつもりでしたが、業者さんに「やろうとしてることはそこまで難しくないから、自分たちでやったほうがおもしろいんじゃないですか?」とアドバイスを受け、セルフリノベーションすることに。DIYもしたことがなかったふたりが、移住後に生まれた幼い次女を抱えてリノベーションに取り組むことになりました。

しかし、いざやってみるとやはり簡単ではなく、素人ではどうしても時間がかかってしまいます。暮らしを整えることにも精一杯で、なかなか進みません。

「大家さんがすごく優しくて。『稼働するまで家賃はいらないよ』って言ってくれたこともあって、半年ぐらい放置してしまっていました」と、史帆さん。さすがに申し訳ないと、本気を出した夫妻。

「友だちとの忘年会のときに、『来年は住みながら、本気でリノベーションします!』って宣言したら、そこにいた家族が、『じゃあ、俺らも住むわ!』って。もうひとりの女の子も『私も住みます』とか言って。4人家族が2世帯と女の子ひとりの計9人が、いきなりここで暮らすことになったんです。それがもう、信じられないぐらい楽しかったんですよね」(史帆さん)

〈暮らす実験室iki〉2階のキッチン
楽しい共同生活の中心になったのが、2階にあるキッチン。リノベーションも、この場所から始まりました。リビングダイニングは、いまでも多くの入居者や友人たちの集いの場になっています。
娘さん2人がキッチンでカステラづくり
キッチンは、市原家の子どもたちにとっても大切な場所。長女のゆきちゃんはお菓子づくりが得意で、自作のケーキやクッキーはマルシェでも販売しているとか。この日は学校から帰るとすぐ、カステラづくりにとりかかっていました。

「核家族が普通だと思っていたのに、料理しながらみんなでしゃべって、一緒に食べて。子どもたちは朝起きた瞬間から遊んでいて。誰かが掃除して、子どもが泣いたら誰かがあやして。『みんなで暮らしをつくる』感じが、とてもとても楽しくて!」と、つい昨日のことのように話してくれる史帆さん。

インタビュー中の史帆さん
「買い物を楽しめる場所も少なくて、決して便利ではないけれど、自然が近く、人との緩やかで温かいつながりがあり、暮らしを大切にするコミュニティがあって、そこに子どもたちもいる。こんな条件が好きな人が来てくれるといいな、と思っているんです」

3か月限定のつもりで始めた共同生活でしたが、2階と3階の住居部分が完成したあとも、離れるのが惜しくなり、結局7か月まで延長したそうです。

当初は「婚活シェアハウス」として入居は独身者限定にするつもりでしたが、結局、市原家は残って家族で住み続けることに。

「共同生活が自分にとってとてもしっくりきた」という発見をした史帆さん。ともに暮らす人たちにとって「どんな暮らし方が心地いいんだろう?」と考えるうち、「ともに暮らすことでチャレンジできるような場所になったらいいな」と、シェアハウスの名前を、〈暮らす実験室〉と名づけました。

「暮らし方の実験をする」ということを明確に示しているからこそ、「比較的、価値観の似ている人が集まっていますね」。

引き戸が大きく解放されて、通りから〈暮らす実験室iki〉の1階全体が見えている
ikiの1階は、イベントスペースとしても開放。月に1度、小さなマルシェ「ぐるずぶ市」を開催するほか、シェフを招きカフェやレストランになることも。

三女をおんぶして壁のリノベーション作業をする史帆さん
Next Page|2軒目はさらに大掛かりな
リノベーション…!

この記事をPost&Share
X Facebook