〈タオ・オーガニック・キッチン〉
豊後大野からおいしいオーガニック
食品を届ける、米澤陽子さん
ひと口で虜になる唯一無二の酵素シロップ
大分県南部の豊後大野市を流れる「白山川」。ここはゲンジボタルの生息地としても知られ、毎年6月上旬頃になると川一面にたくさんのホタルの光が舞う様子を楽しむことができるそうです。
この川をお気に入りの場所として紹介してくれたのが、30年前に豊後大野へ移住し、現在は加工食品の製造販売〈タオ・オーガニック・キッチン〉を営む米澤陽子さん。柔和な眼差しと笑顔がとてもチャーミング、というのが第一印象です。
その昔、白山川のゲンジボタルは河川周辺の開発により絶滅の危機に瀕したことがあり、そのことを危惧した地域住民たちの環境活動のおかげで見事ホタルたちは復活。陽子さんは、そのホタルたちの舞う姿と復活ストーリーに感激し、豊後大野で暮らすことを決めました。
川の途中には、河川をそのまま利用したプールがありました。ここはもともと小学校のプールとして利用されていたそうですが、廃校になってしまった現在は一般開放されており、夏は地元の子どもたちで賑わい、陽子さん親子もこの天然プールで何度となく水遊びを楽しんできたといいます。
白山川をひと通り案内してもらったあと、私たちは陽子さんの工房、タオ・オーガニック・キッチンへ向かいました。のどかな田舎道を車で10分ほど走ると、5年ほど前に建てたという平屋造りの小さな工房に到着。
工房の中へおじゃますると、「暑かったでしょう。冷たいものでもどうぞ」。そう言われて出されたのが、タケノコ酵素シロップの冷たい炭酸割り。
飲んでみてビックリ! ふだん口にしているタケノコからは想像もつかない果汁のような爽やかな味わいに、おもわず「わ、おいしい!」と声に出して感激してしまいました。
陽子さんの手がけるオーガニック加工食品は、近隣の有機農家さんがつくる野菜や野山で採れる草花などを使い、加工は最初から最後まで手づくりにこだわったものばかり。オンラインショップでは手軽に安心安全な食品が購入できるということもあって、県外のリピーターさんも多いそうです。
商品はなかなかの多種多様ぶりで、私たちがいただいた酵素シロップをはじめ、酵素ジャム、ドレッシング、焼菓子、グラノーラ、野草茶などなど。その季節に収穫できた食材を使っているため、オンラインショップで販売されるフレーバーも季節の移ろいとともに変わります。
「うちは少量多品目。有機農業と同じで、たくさんは納品できないので取引先も規模が小さいところじゃないと無理なんです」と陽子さん。
加工製造は陽子さんと製造スタッフのたったふたりで行うほか、配送担当のスタッフが午前中だけ出勤しているそう。大変じゃないですか? と尋ねると、「なんとかやってます」と笑顔の陽子さん。いいものをつくってるんだから大変なのはしょうがない、笑顔にはそんな誇らしさを感じます。