湯治の癒しを日常に。
別府・鉄輪温泉発のブランド
〈HAA〉池田佳乃子さん | Page 2
「日常に、深呼吸を届ける」〈HAA〉起業へ
同時期、移住してシェアハウスを始めたり、カフェを始めたり、鉄輪温泉で“場づくり”をする人が増えてきたこともあり、池田さんは「鉄輪温泉の湯治文化を絶やさずに、私ができることって何なのか?」を考え始めたと言います。ヒントになったのは、実際に湯治に訪れていた女性たちの声。
「鉄輪温泉に滞在しているときはリセットできるんだけど、東京に帰ったら通常のリズムに戻っちゃって。なんかしんどい」
それは、2拠点生活を続ける池田さん自身が実感していることでもありました。
「日常のなかでも休めるリズムが必要。日常で湯治っぽいことができたら、もっと心も体も健やかに過ごせるんじゃないか」
そんな考えから「湯治をコンセプトにしたブランドをつくりたい」という思いが芽生えました。
そして2021年にHAAを創業。湯治でゆるむ感覚を届けたいから、会社のミッションは「日常に、深呼吸を届ける」。そのためのプロダクトづくりを進めます。視察も重ね、100以上の案を出し、最終的に絞ったのが入浴剤でした。
「別府の“湯の花”のエキスを使おう、というのは最初から決めていました」
温泉の成分が凝縮され固形化した「湯の花」。実は別府には、350年以上続く伝統的な方法でつくられる湯の花があるのです。





この湯の花に、何をプラスすれば「鉄輪温泉にきたときの感覚」になれるのか。
「『は~』って深呼吸ができていて、心がほどけていく、素の自分に戻っていく感覚。それを、自宅のお風呂で再現したい」と考え抜いて辿り着いたのが、「言葉」でした。
「言葉だったら、たとえ自宅のお風呂にいても、その人の想像力で違う場所に行けたり、一日を振り返ったりできるな、と思ったんです」


ふたつ目のプロダクトが生まれたのも、入浴剤を実際に使う女性からの声がきっかけでした。
「お客さまから『仕事中でも“は~”したいです』って言われて。自然とお客さまたちからも『深呼吸する』のような意味として『は~する』という言葉が動詞として使われるようになってきました」
「香りがついているものがほしい」という要望を採用し、開発したのがハンドクリームとロールオンアロマ。どちらも8~15種類の天然精油をブレンドしています。

東京に住んでいた頃は、自身もとても呼吸が浅く、休むことが苦手だったという池田さん。それはいまでも変わらないそうですが、「東京にいると、意識的に休む時間をつくらないと休めないのに、鉄輪にいると、湯煙が見えたり山が見えたりして、自然に『は~』と深呼吸できて。自然に休めるんです」。

HAAもそんな存在になれれば、と池田さん。
「自分の生活のなかにHAAのプロダクトがあれば、自然に深呼吸できる。そんな感じで寄り添えるブランドになっていければ、と思っています」
