茹で上がった小松菜
連載|MY FAVE オオイタ

何もない、でも何でもある。
それが大分らしさ。
俳優・財前直見 | Page 2

Posted 2023.04.28
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財前家に脈々と受け継がれる“もったいない精神”

キッチンで調理中の財前さん

「私、女優なのに最近は番組で料理まですることが多くて(笑)」という言葉通り、近年はレシピ紹介や調理の様子などがテレビで放送されることも多い財前さん。知恵とアイデアに富んだ財前家の暮らしぶりは、母・カツ子さんから受け継がれているといいます。

「つくり方は母の頭の中だけにあって、レシピになっていないものも多かったので、いつかきちんとカタチにして残したいと思っていました。なかには、私自身が自然療法の勉強などをして、試行錯誤しながら改良したものなどもありますよ」

茹で上がった小松菜をザルにあげる
畑で採れた立派な小松菜を茹でてシンプルにいただきます。
小松菜をざく切りに
楽しく話をしている間に、次々と料理を仕上げていく財前さん。

たとえば、かかとのひび割れにはよもぎエキスをワセリンと混ぜ合わせてつくった「よもぎワセリン」を、虫刺されや吹き出物にはびわの葉をホワイトリカーに漬けた「びわの葉エキス」を用います。

かぼすやゆずのシロップ、ジュースをつくった後に取り出した果実のかすはジャムにして、皮は乾燥させ砂糖をまぶしてピールにします。大根の葉は塩もみにして食べ、梅干しを漬けたときの梅酢は調味料として活用。じいじ(財前さんの父)が育て、収穫した作物はいっさい捨てるところがありません。

瓶に保存された果実ジュース
いっぱい採れた果実は氷砂糖でジュースにしたり、ホワイトリカーに漬けて加工したりします。
小分けに袋詰めされたピール
果汁を搾った後の皮はピールに。柑橘類だけでなく、ニガウリなどでもつくるそう。

「確かに母はアイデアマンで、昔からなんでも手づくりしていましたね。でもそれって、要は“もったいない精神”だと思うんです。捨てないために、なんでも使い切るアイデアが生まれたのだと。そうやって受け継がれているレシピや生活の知恵って、実はどの家庭にもあるけれど、当たり前すぎて見過ごされてきたのかもしれませんね」

特別なことは何もない、けれど地に足のついた人間らしい暮らしがここにはある。その営みが何よりも心地よくて、楽しいんです、と財前さんは話します。


アトリエ併設のキッチンで調理中の財前さん
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