やまよし店内の冬菇と香信の量り売りコーナー
連載|おおいた食手帖

生産量日本一! 大分県の乾しいたけ専門店
〈やまよし〉に聞く
その魅力とおいしい活用術 | Page 2

Posted 2024.07.05
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知れば知るほど奥深い! 乾しいたけの世界

乾しいたけとひと口に言っても、いくつかの種類があります。見た目の違いでは、大きく分けて3種類。品種に関係なく、収穫する段階で分けられ、傘の開く直前は冬菇(どんこ)、開き始めが香菇(こうこ)、傘が開いたものが香信(こうしん)とされています。

乾しいたけがガラス張りの棚に入っている量り売りコーナー
やまよしの店内にはパッケージ化された商品のほかに、冬菇と香信の量り売りもあります。
椎茸の入ったダンボールを運ぶ河内さん

冬菇は傘が開く直前で収穫されるため、巻き込みの強い丸っこい見た目が特徴で、肉厚で歯ごたえがあります。そのなかでも傘の表面に細い亀裂が入り、全体的に白いものは天白冬菇(てんぱくどんこ)と呼ばれています。この天白の亀裂や色は気象条件などによって表れるそうで、全体の生産量の1%くらいしか収穫されないことから、大変希少性の高い最高級品とされています。

天白冬菇を手にとる
河内さんが見せてくれた天白冬菇。高級品は桐の箱に入れられ、皇室献上品としておさめられているそうです。

肉厚な冬菇は水で戻したあと、水気をきり、バターとしょうゆでステーキにするのがおすすめだそう。乾燥させることで、三大旨み成分のひとつといわれる「グアニル酸」が発生するため、生のしいたけステーキよりも旨みが増してさらにおいしいのだといいます。

茶色がかった冬菇
こちらの茶色がかったものは茶花冬菇と呼ばれています。表面に亀裂のないものは上冬菇(じょうどんこ)とされ、飾り包丁が入れやすいので煮物や椀物に重宝されます。

傘が開ききった状態の香信は、平らな形のいわゆる一般的なしいたけの見た目。厚みがそれほどないため水戻しの時間も短く、和え物や炒め物に使うのがおすすめとのこと。ちなみに冬菇と香信では味に違いがあるのかと河内さんにうかがったところ「そんなに大きな差はない」そうです。

傘が開ききった香信がたくさんガラスケースの中に入っている
これが香信。日常の料理ならこれでも充分。
贈答用商品などが陳列されている商品棚
贈答用として箱詰めされた冬菇と香信。取材中、地元の方が東北の方へのお土産として数箱購入されていました。地元の方曰く「お土産はいつもこれ。珍しいみたいで喜ばれるんですよ」と。

戻し方にもコツがあり、早く使いたいからといって水やぬるま湯で数時間戻すのは、もったいないと河内さん。

「冷たい水を使ったほうが旨み成分のグアニル酸が出やすいので、5度くらいの水に乾しいたけを入れて、冷蔵庫で10時間ほどおくのがおすすめです。時短のためにお湯を使って短時間で戻そうとしてしまうと、部分的に火が入った状態になり、歯ごたえはガシガシして風味も半減してしまうんです」

「7月7日は乾しいたけの日」と印刷されたダンボール
倉庫に積み上がったダンボールには「7月7日は乾しいたけの日」という文字が。7月7日は「そうめんの日」でもあり、だしなどに乾しいたけがよく使われることから制定されたそう。この時期の河内さんのおすすめ活用法は、めんつゆ。「乾しいたけの戻し汁を一度加熱し、そこにめんつゆを少し足す」それだけでお店の味に仕上がるそうです。

しいたけパウダーのボトル
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