〈暮らす実験室〉を運営する市原史帆さん、正さん夫妻
連載|あの人に会いたい!

シェアハウスで暮らし方を実験!
竹田市〈暮らす実験室〉市原史帆さん、正さん

Posted 2025.03.07
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婚活がきっかけで始まったシェアハウス

「実は、婚活事業の一環でシェアハウスのプロジェクトを始めたんです」と言うのは、〈暮らす実験室〉を運営する市原史帆さん、正(まさし)さん夫妻。東京から竹田市に移住し、3人のお子さんを育てながら城下町でふたつのシェアハウスを運営しています。

〈暮らす実験室iki〉の入口に置かれたイーゼルを使った看板
江戸時代から続く白壁の家が残る城下町、竹田。そんなまちの中心部に、シェアハウス〈暮らす実験室iki〉はあります。

ふたりの出会いは、東京にある結婚相談所や婚活パーティーなどを手がける会社。当時は、正さんが上司、史帆さんが部下という関係でした。社内結婚し、長女が生まれ、東京での子育てが始まると、息苦しさを感じ始めたという史帆さん。そんなとき、広島の田舎に移住した史帆さんのお兄さん宅を訪れ、田舎暮らしの心地よさに目覚めたといいます。

カフェのような雰囲気の1階スペース
暮らす実験室ikiは、1階がみんなのリビングであり、共有キッチン。青い壁の奥は、入居者の友人や旅行者、ボランティアが泊まるためのゲストルームになっています。

ふたりで仕事を辞め、移住地探しの下見旅へ。はじめは、「海が近くて空港が近い場所がいい」と思っていたそうですが、福岡県庁に勤めている知り合いの知り合いから、「いま九州でアツいのは、大分県の竹田と鹿児島の深山」とメッセージが届いたことで、行先は大分と鹿児島に。竹田市を訪れた際、案内をしてくれた市の移住担当者との出会いが、その後の運命を決定づけることになりました。

「当時の市の移住担当者が、500名近くの移住を実現させたカリスマ担当者だったんですよ。彼がいなかったら移住していないという人はたくさんいて、私たちも彼がいなかったらここには来ていなかったと思います」(史帆さん)

リビングのソファと飾られた2枚の絵

案内をしてもらっているなかで、前職で婚活に関わっていたことを伝えると、「竹田市でも婚活に力を入れたいが、人手が足りない。地域おこし協力隊というかたちで、婚活担当をしてみませんか?」と、声がかかります。さらに、古民家をリフォームした5LDKの立派なお家まで紹介され、案内の途中で住む家も仕事も、いっぺんに決まってしまいました。

「『この人たちと一緒に生きたらおもしろそうだな』って思えるすてきな人たちをたくさん紹介してもらったので。ここだろうな、って」(史帆さん)

それまでは聞いたこともなかったという竹田がすっかり気に入ってしまい、2か月後には竹田に住み始めていました。それが2017年のこと。親子3人で移住し、正さんは地域おこし協力隊の婚活担当として働き始めます。

キッチンスペースに立つ正さん
移住当初は、婚活担当の地域おこし協力隊として働いていた正さん。いまでは水道管なども扱えるリノベーションの猛者に。

その婚活事業の一環として始めたのが、シェアハウスのプロジェクト。都会に比べ、人口が少ない田舎では、成婚までたどり着くのはとても難しく、都会のような「数打てば当たる」は通用しません。

「同じメンバーが、自然と何度も出会えるような環境づくりをしたい」と考えていたとき、正さんが思いついたのがシェアハウスでした。東京の知人が運営しているシェアハウスで、出会ったカップルが結婚して子どもが生まれ、近所に家を探して定住するというコミュニティができていたことも後押しに。

「この感じを地方に持ち込めたらいいな、という思いもありました」(史帆さん)

アンティークのシーリングライト
シェアハウスの家具は、アンティークショップや蚤の市などで探すことが多いそう。古民家には、新品のものを持ってくるのではなく「大分のどこかで使われていたものがいいな、と思って」と史帆さん。

最初にリノベーションした2階のキッチン
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