
シェアハウスで暮らし方を実験!
竹田市〈暮らす実験室〉市原史帆さん、正さん | Page 3
暮らしを大事にすることは、人生の喜び
2019年、〈暮らす実験室 iki〉が始動。未完成部分のリノベーションを手伝ってくれるボランティアも受け入れながら、緩やかにスタートします。
徐々に入居者が入り始めた2020年、コロナ禍に突入。留学など、海外に行く予定が行けなくなった、大学がリモート授業になったなど、さまざまなきっかけで入居者が一気に増え始めます。
市原家には三女も誕生。そんなタイミングで、2軒目のシェアハウス〈暮らす実験室 sika〉のリノベーションが始まりました。
「はじめは、ふたつもつくるつもりなんて全然なかったんですよ。でも、偶然いい物件が見つかったので、購入してつくることにしました」

歯科医院兼院長宅だった中古物件を購入。ここでは、2階の2間をつなげて広いリビングやキッチンをつくるなど、1年半をかけた大リノベーションとなりました。国内外から、ボランティアもたくさん参加したそうです。
「インスタで『ボランティア募集!』って出すと、集まってくれて。『Workaway』というマッチングサイトに掲載すると、外国人のボランティアの方も来てくれました。月に10人来たときもあったかな」と史帆さん。




現在は、ikiもsikaも、ボランティアや、居住者の家族や友人のためのゲストルームを除いて満室。入居はできない状況ですが、ボランティアは随時受け入れています。



一家で実際に住み、竹田の魅力をあらためて実感しているという市原夫妻。知り合いも増え、農家さんから直接、無農薬野菜を購入できたり、友だちが天然酵母のパンを届けてくれたり。
「食卓が、竹田のどこかの営みとそのままつながっているのは、とてもすてきなことだと思うんです。おいしいし、すごくうれしい」(史帆さん)


そんな魅力的なまち竹田に、シェアハウスに住むよりももっと気軽に「人が訪れるきっかけを増やす、場づくりをしたい」と、1日ひと組限定の〈竹田まちホテル〉も運営しています。ここも古民家をリノベーションしたもので、竹田の城下町に「暮らすように泊まる」がコンセプト。
さらに、イタリアンシェフでまちづくりにも積極的に取り組む友人とともに、武家屋敷をリノベーションした新たな「まちホテル」も準備中です。

東京にいた頃は、「物件を持つなんてリスクでしかない」と思っていたはずなのに、いまでは「いい物件さえあれば買いたい」と思うようになったという史帆さん。今後は単身者だけでなく、家族連れも一緒に住めるシェアハウスを構想しているそう。現在もシェアハウスに合う物件を探している最中で、「次をつくることになったら、やっぱりセルフリノベーションすると思います」と、言い切ります。
「住むことによって、暮らしを豊かにする場をつくりたい。暮らしを大事にすることが人生の喜びだなって、思っています」


兵庫県神戸市生まれ。友だちのミュージシャンに誘われ、ラッパーとしても活動。〈暮らす実験室〉のサイトや冊子をつくる際には、デザインやライティングも担当している。

東京都渋谷区恵比寿生まれ、恵比寿育ち。サラリーマンを辞めてから、髭も髪も伸ばしたワイルドな風貌ながら、いつもニコニコ。リノベーションの際は、計算など細かい部分なども担当。
credit text:河野恵 photo:木寺紀雄