竹田と旅人をつなぐ古民家ゲストハウス
〈たけた駅前ホステルcue〉
堀場さくらさん | Page 3
竹田に住んで見えてきた、
かけがえのない魅力と守るべきもの
竹田へ移住して7年目のさくらさんに、この土地の魅力を尋ねたところ「自然、湧水、温泉が当たり前にある環境のなか季節の移ろいを感じながら暮らせるところ」だと教えてくれました。
「この辺りの人たちは自分でつくれるものはなんでもつくってしまうんです。例えばお正月が近づくと自宅用の門松をこしらえたり、秋になるとまちのいたるところで干し柿が吊るされる様子を見かけたり。それをみんなががんばってやっているのではなく、暮らしのなかの一部として自然体でやっているところがいいなと思うんです」
これまでゲストハウスから竹田のすばらしさを発信してきたさくらさん。息子さんが生まれてからは、竹田の豊かな自然や美しい景色をできるだけ子どもたちの世代まで残せるようにと、環境保護にも積極的に取り組むようになりました。
「未来の子どもたちに、夏に底まで見えるくらい透明度の高い川で遊ばせたり、ふと見上げたときに広がる満天の星空を見せたりしてあげたい、とただシンプルにそう思いました。自分たちの場所だけでなく地球規模のことで考え、そのゴールのためにできることを、少しずつですが取り組み始め、勉強しています。また、この宿に来た人たちにとっても、何かを考えるきっかけになるよう、もう少し環境に配慮した場づくりができたらいいなと考えています」
今後は、若い人たちが竹田に戻ってきたくなるようなきっかけづくりについても考えているそうです。
「竹田には若い人たちが働きたいと思えるような場所が多くないのが課題のひとつ。できれば地元に戻ってきた子たちの受け皿として、cueが機能するといいですよね。私たちはまだひとり、ふたりくらいしか雇えないけど、いまスタッフとして働いてくれている子は、海外から竹田に戻ってきたときに声をかけました。こういう仲間をひとりでもふたりでも竹田全体で増やして、ゆくゆくは点ではなく、面で竹田のことを発信できたらいいなって思います」
最後に今後の目標をさくらさんに尋ねると、実はまだまだやりたいことがたくさんあるようです。
「仕事もプライベートでもやってみたいことが多すぎて。何から手をつけたらいいのかわからないながらも、できることから少しずつ始めているところ。でもちゃんとかたちになるのは少し先の話になりそうです(笑)」
そう言いながらもいつもの行動力と決断力ですぐにかたちにしてしまうのでは? さくらさんのやる気に満ちあふれた表情を見ていると、次の夢の実現はそんなに遠い話ではないような気がしました。
福岡県生まれ。大学卒業後、小学校教諭を10年間務める。2012年に結婚し、千葉県へ移住。2014年に竹田市の地域おこし協力隊に夫婦で着任。2016年〈合同会社solairodays〉設立、代表は夫である貴雄氏。2017年4月、念願の〈たけた駅前ホステルcue〉オープン。息子と3人で暮らす。
credit text:川上靖代 photo:木寺紀雄